Research Abstract |
余次元1の葉層化多様体において,許容関数なるものを以前定義したが,この概念が有向グラフにおいても定義でき,葉層化多様体の許容関数とその葉層化多様体に付随する有向グラフの許容関数との間に密接な関係があることを示した.また,葉層化多様体のリーマン計量とそれに付随する有向グラフのラベル付けをうまく対応させることが出来ることを示し,その応用として,葉層化多様体上の許容関数と同様に,有向グラフ上の許容関数もまた,ある種のdivergent(発散)の形で特徴付けることが出来た.また,この結果を,葉層化多様体を使わずに,直接グラフ理論の枠内でも示すことが出来た.ここでは,有向グラフ上の「流れ」に関するテクニックが役に立った. 余次元1葉層の平均曲率関数の特徴づけは,以前,完全に得ることが出来たが,今回は,余次元1葉層の平均曲率ベクトル場についての特徴づけを試みている.「関数」と異なって「ベクトル場」は「方向」までも指定されているため,平均曲率関数のような簡単な特徴づけは,残念ながら,今の所得られていない.しかし,葉層に横断的なベクトル場を与えると,適当な関数をかけることによって,その「±」方向には平均曲率ベクトル場を実現出来ることがわかった.これによって,葉層に横断的な一つのベクトル場に対してさえ,かなり多くの平均曲率ベクトル場が実現出来ることが示せた.また,平均曲率ベクトル場になるようなベクトル場の特徴づけを,かなり複雑で,今の段階では実際の問題に応用出来るようなものではないが,葉層に付随した錘構造と関連させることによって,得ることが出来た.この特徴づけの幾何学的な意味や,特徴づけに現れる複雑な条件の緩和や,その条件についての別の表現等に関しては,今後の重要な課題である.
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