2004 Fiscal Year Annual Research Report
遅れを持つ非自励的微分方程式におけるバーコフ理論の展開
Project/Area Number |
16540139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
日野 義之 千葉大学, 理学部, 教授 (70004405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 尚志 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40125901)
石村 隆一 千葉大学, 理学部, 教授 (10127970)
岡田 靖則 千葉大学, 理学部, 助教授 (60224028)
内藤 敏機 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (60004446)
村上 悟 岡山理科大学, 理学部, 教授 (40123963)
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Keywords | 遅れ / 関数偏微公方程式 / 極小集合 / 非自励的 / アトラクター |
Research Abstract |
無限次元における遅れを持つ非自励的微分方程式の解を古典的な力学系の土壌に乗せるために、いろいろな考え方が存在している。それらに共通することは解とシステムの直積を考え、ともにパラメータにより同じだけ平行移動するものである。このとき解の移動は移動したときの値で計られる。この考えでは解の初期値に関する一意性が必要となる。従って従来の結果はすべてこの一意性のもとで議論が展開されている。 今年度の研究において解の一意性を考慮しないで力学系の性質を持つようなものの構築を考えることができた。それは解の移動を移動した時の値としてとらえることではなく、解全体をある関数空間の点としてとらえ、その移動は解全体のシフトとして取り扱うことである。この時この間数空間は十分に意味を持つ物でなければならない。またシステムの直積を考えたときにこのパラメータによる移動は元のシステムの解として意味を持つ物でなくてはならない。そのために解およびシステム共に弱一様位相を導入して解決することができた。 今年度の論文として公表予定のものはまだまだ力学系一般論に及ぶのは困難で、具体的モデルとして無限次元上のボルテラ型の微分方程式において遅れが無限であるときの安定性間の関連を調べた。これは安定性を特徴付けすることで元の方程式といわゆる極限方程式の性質の関連が明確になることより大変必要性の高いものである。与えられた方程式を解析するよりは極限方程式を解析するほうが容易であることは、たとえば元の方程式が非自励的の場合でもその極限方程式が自励的になる場合を見てみても容易に納得できる。そして自励的な微分方程式に対しては古典的な力学系の理論が直接利用できる。
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