2004 Fiscal Year Annual Research Report
大型加速器の挙動事前予測手法およびトラブル回避システムの研究
Project/Area Number |
16540276
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
榊 泰直 特殊法人日本原子力研究所, 大強度陽子加速器施設開発センター, 副主任研究員 (00354746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 博樹 特殊法人日本原子力研究所, 大強度陽子加速器施設開発センター, 研究員 (10370420)
上窪田 紀彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 助教授 (10183782)
古川 和朗 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 助教授 (00190132)
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Keywords | 加速器施設 / トラブル未然回避システム / 高速波形監視装置 / 自己組織化マップ解析 |
Research Abstract |
今年度は、加速器のトラブルを監視するための装置であるスキップバックレコーダーを利用して、実験的に日本大学のFEL施設用電子加速器のデータを収集し、分析を開始した。データ収集に当たっては、設備備品として購入したPCとレコーダーをつなぎ、自作ソフトウエアによってイベントデータのみが選択できるようなシステムを組あげた。このシステムにより、日本大学FEL施設の加速器の2Hzで運転されているパルス的ビーム波形が異常となるイベントを取りこぼし無く収集し、イベント発生の予兆が含まれたデータとして保存することに成功した。 また、大強度陽子加速器施設で用いられる予定の高周波4重極型リニアック(RFQ)に於いても、日本大学と同じシステムを組みあげ、25Hzという高周期で運転されている加速器でのトラブルイベント波形を選択的に保存することに成功した。 これらのデータは、手始めに自己組織化マップ(SOM)解析により、予兆パターンが存在するかどうかの確認が行われており、異常パルス波形をFFTによって周波数領域に展開し、そのパターンをSOMクラスタリングすることで、予兆パターンが切り出せるような見通しが立ってきた。さらに、統計的な解析も並行して行うために、「XploRe」という統計的解析ソフトを購入し、統計的な側面から異常波形の予兆現象を解析している。 次年度は、多くの他の加速器施設でもデータを多数収集することを考えており、まずは、国内では、日本原子力研究所内の超伝導FEL線形加速器、海外ではスイスのPSIにてビームデータを収集し、予兆現象が含まれているかを解析することを検討している。さまざまな加速器施設で取られたデータにおいて、共通解析手法でトラブルイベントの予兆が解析されることが確認されることを目指し、そして、これらの手法によって加速器施設にとってトラブルを未然に回避できる非常に効率的な運転法開発を行う。
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