2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540358
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
平野 琢也 学習院大学, 理学部, 助教授 (00251330)
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Keywords | 量子暗号 / 連続変数 / ホモダイン検出 / プラグアンドプレイ方式 / ファラデーミラー / ショット雑音 / 音響光学素子 |
Research Abstract |
ホモダイン検出を用いる量子暗号について、これまで原理検証実験や安全性に関する理論的な研究を行ってきたが、今年度は、"plug&play"システムの実験に注力し、一光子レベルでもシグナル光の強度を制御し、直交位相振幅を測定することができた。これにより、連続変数を用いる量子暗号も実用的なシステムを構築できることを世界で初めて示すことができた。 通常"Plug&play"方式と呼ばれている手法を連続変数の量子暗号に導入することができれば、光ファイバーで生じる偏光状態や光路長などの乱れを自動的に補正することができ、従来技術では必要であった種々の乱れの制御が不要になり、受信装置と発信装置を光ファイバーで接続するだけで、量子暗号による秘密鍵の生成が可能となる。但し、従来のPlug&play方式では,時間的に離れた2つのパルスの強度が等しくなってしまうので、微弱な信号光と比較的強いLO光という2つのパルスを用いる連続変数の量子暗号へは、そのままの形では導入することはできない。そこで我々は、時間応答速度の速いファイバーピッグテールタイプの音響光学素子を導入し、音響光学素子の透過率を時間的に制御することにより、連続変数を用いた量子暗号でもplug&play方式が可能であることを実証する実験を行った。実験に使用した音響光学素子の立ち上がり・立ち下がり時間は60ナノ秒である。音響光学素子および位相変調に用いる電気光学素子、測定結果の読み出し等のタイミングはデジタル・ディレイジェネレータとアナログスイッチを組み合わせることで制御を行った。ホモダイン検出器についても、ファイバー入力の検出器を新たに作成し、等価入力電子数雑音が400個程度で、LO光の光子数が107個までショット雑音限界で動作することを確認した。信号光の光子数を、1個から100個程度までになるように設定し、送信者または受信者の位相変調器に印可する電圧を変えながら、直交位相振幅の確率分布を測定した。その結果、直交振幅の期待値については理論通りの、分散については量子雑音の1.6倍という結果を得た。
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Research Products
(2 results)