2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550060
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
坪村 太郎 成蹊大学, 工学部, 教授 (70188621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佃 俊明 成蹊大学, 工学部, 助手 (70372943)
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Keywords | パラジウム錯体 / 白金錯体 / 光化学反応 / ルミネッセンス / 励起状態 / ホスフィン |
Research Abstract |
第一に光化学反応を行う新たな錯体の合成を行った,既に[Pt(binap)_2]や[Pd(binap)_2]が溶液中でも励起状態が長寿命(>1μs)であり,強いルミネッセンスを示すことは分っていたが,さらにいくつかのジホスフィンを用いて同様な性質を示す錯体を探索したところ,biphep(2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル)を含む錯体[Pt(biphep)_2]や[Pd(biphep)_2]が溶液中で2μs以上の励起状態を有しており,また,強いルミネッセンスを示すことを見いだした.これらの錯体の構造はX線構造解析で確認した.また,本年の研究費の最大の使途である低温測定用クライオスタットは現有の島津製蛍光分光計の試料室の大きさに合わせたものの設計・製作をメーカーに依頼し,液体窒素温度から室温の範囲で石英角セル中の試料の温度調節が可能な製品を購入した.あわせて温度コントローラも購入し,パラジウム錯体の発光測定を行った.発光の温度変化の詳しい解析は今後の課題である. 光化学反応については主に[Pd(binap)_2]の反応をベンゼン中,そして各種の有機塩化物とベンゼンの混合溶媒中において詳しく検討した.その結果前者の系においても可視光照射によってPd(0)錯体の可視域の吸収帯が減少し,長波長側に新たな吸収帯が生成する反応が起こることが判明した.後者においては,1,2-ジクロロエタンやジクロロベンゼンなどを含む溶媒中で,可視光の照射によってやはり吸収帯が長波長側に現れ,さらに暗所で放置することによって元の吸収帯に戻るというホトクロミックな現象を確認した.反応物の濃度変化などの実験から現在のところ有機塩化物が配位した0価錯体の生成が起こっているものと考えている.今後反応生成物の同定を含めて詳しく検討していきたい.
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