2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550060
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
坪村 太郎 成蹊大学, 理工学部, 教授 (70188621)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佃 俊明 成蹊大学, 理工学部, 助手 (70372943)
|
Keywords | パラジウム錯体 / 光化学反応 / 電子移動 / ホスフィン錯体 / 銅錯体 / 発光 |
Research Abstract |
1 二座ホスフィンを配位子とするパラジウム錯体と有機塩化物の光化学反応ジホスフィンdppe (bis(diphenylphosphino)ethane)が2分子配位したパラジウム(0)錯体[Pd(dppe)_2]と各種有機ハロゲン化物の光化学反応を検討した。この錯体をトルエン中に溶解し、脱酸素条件下で有機ハロゲン化物(クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等)を加え、光を照射したところ、吸収スペクトルの変化が観測された。生成物を単離同定したところ[Pd(dppe)_2]Cl_2であった。この光化学反応の量子効率は、0.02%から10%の範囲であり、この量子効率の値から計算される相対反応速度定数は、有機ハロゲン化物の還元反応の標準還元電位が高いほど大きいことが判明した。よって錯体の励起状態においてまず有機ハロゲン化物に電子が移動することが反応の初期過程であることが結論づけられた。 2 三座ホスフィンが配位したパラジウム(0)錯体の光化学反応昨年に引き続き、三脚状ボスフィンであるtriphos (1,1,1-tris(diphenylphosphinomethyl)ethane)とトリフェニルホスフィン(PPh_3)が配位したパラジウム(0)錯体[Pd (triphos)(PPh_3)]の異常な振る舞い(発光減衰曲線が単純指数関数にならないなど)を説明するために、特殊セルを用いて錯体の濃度を一定に保ちながら単座ホスフィンを加えて吸収スペクトル変化を測定する実験、ナノ秒オーダーの時間分解発光スペクトルや発光減衰曲線の溶媒依存性などの測定を新たに行い、励起状態における反応について考察した。 3 銅錯体の光励起状態と発光上記の錯体と同じd^<10>電子配置を持つ銅(I)錯体の電子励起状態についても検討を行った。2,9-ジメチルフェナンスロリン(dmp)と一連のジホスフィンを含む銅錯体の合成を行い、X線構造解析により2核錯体[Cu_2(dmp)_2(dppb)_2]_<2+>等の構造を決定した。一連のジホスフィンを用いた場合、リン原子間のメチレン鎖長が長いほど、発光の量子効率は高く、最大10%となることが明らかとなった。メチレン鎖長が長いほど銅まわりがより外界から遮へいされた構造となることが分り、励起状態において構造の歪みが少ないために高い発光効率となったことが推定された。
|
Research Products
(1 results)