2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポンプ圧送によって圧力を受けるフレッシュコンクリートの品質変化予測手法の開発
Project/Area Number |
16560403
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
熊野 知司 摂南大学, 工学部, 助教授 (40340856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢村 潔 摂南大学, 工学部, 教授 (30026257)
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Keywords | 高流動ペースト / ポンプ圧送 / 高性能AE減水剤 / 経時変化 / レオロジー定数 / 粒子間ポテンシャル |
Research Abstract |
本研究は、ポンプ圧送によるフレッシュコンクリートの流動性の変化のメカニズムを探るとともにそれを予測するシステムの構築を目的としたものである。 平成16年度は、研究の第1段階としてポンプによる圧力の作用に着目し、静的な圧力が作用した場合のセメントペーストの粘度の変化の有無を観察するとともにそのメカニズムについて科学的に不活性な粉体とみなせる石灰石微粉末ペーストとの対比から考察を加えた。その結果、化学的に不活性な石灰石微粉末の場合には静的な圧力を作用させても粘度には変化は見られず、また、粒子径およびペースト温度にも変化は見られなかった。一方、セメントペーストの場合には、静的な圧力を作用させた試料は圧力を作用させずに静置した試料に比べて粘度およびペーストフローが増加する傾向が確認できた。また、粒度分布の分析からも見掛け上粒子径が大きくなる傾向が見られること、ペースト温度の測定結果から圧力を作用させた試料の方が静置している試料よりも温度が高くなる傾向にあることが確認された。粒子の大径化や温度の上昇は水和反応の促進の可能性が高いことから、セメントペーストにおける静的圧力下での流動性の変化は水和反応の増加が一因となっている可能性があると考えられた。 モルタルやコンクリートの場合にはセメントペーストに骨材が加えられるが、この骨材は多孔質な材料であるため圧力による骨材中への吸水量の増加が考えられ、この吸水分の水量がセメントペースト中より減少することによりモルタルおよびコンクリートの流動性の低下が起こることが考えられる。そこで、本研究では数種類の細骨材を用いたモルタルに対して静的な圧力を作用させる前後でエアメータによる骨材修正係数を比較し、圧力吸水量を評価した。その結果、すべての細骨材において圧力による吸水量の増大が認められたが、それが配合やセメントペーストの経時変化に与える影響は非常に少ないものであると考えられた。 これらの実験結果から、既往の研究により構築したセメントペーストの粘度の経時変化予測モデルに圧力の影響を取り得れる手法について検討し、セメントの水和反応の増加による粒子間ポテンシャルの減少を考えることにより予測が可能であることを示した。
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Research Products
(4 results)