2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統解析によるカンアオイ属カンアオイ節植物の分類地理学的考察
Project/Area Number |
16570083
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菅原 敬 首都大学東京, 都市教養学部理工学系, 助教授 (10226425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 紀行 首都大学東京, 都市教養学部理工学系, 助手 (40305412)
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Keywords | 分子系統 / カンアオイ属 / 分類 / 植物地理 / 種分化 / ウマノスズクサ科 / 日本列島 |
Research Abstract |
関東地方南部から九州地方(南西諸島を含む)にかけて広く分布するカンアオイ属カンアオイ節諸種の地理的分布の実態と分類群相互の系統関係を明らかにすることを目的に,形態形質の比較と分子系統学的解析を進めてきた.今年度はこれまで試料の収集・調査が不十分であった南西諸島の奄美・徳之島地域を含む九州地方における調査を進めるとともに,近畿・北陸地方での調査を継続的に進めてきた.その結果,特に奄美群島域におけるカンアオイ類の地理的分布の実態や形態レベルでの分化の実態がかなり明らかになり,その成果の一部は植物分類学会で発表し,また予備的な報告書としても提出してきた.特に重要なことは,この地域のカンアオイ類の一部の種が九州から関東南部へと連なる一つの系統上にあるであろうことが形態形質から推定される点である.一方,近畿地方や北陸地方ではその分化の実態を調査する中で,これまでに報告される分類群とは開花期や形態が異なる集団が確認され,既存の分類群を対象とするだけでは同節カンアオイの地理的分化の解明には不十分であることが判明した.これら未知の分類群については,地理的分布域の解明を含め,今後も継続して調査を進めていく予定である.分子系統学的解析は,核DNAのITS領域に着目して進めているが,種間の系統が多分岐になることが多く,上記の仮説を検証するまでにはいたっていない.ITS領域だけでは情報量不足がいなめないので,より進化速度の速い新たな領域の探索を含めた解析を進めていく予定である.
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Research Products
(5 results)