2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580248
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
池田 輝雄 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (60151297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟場 正幸 麻布大学, 獣医学部, 講師 (40238655)
村上 賢 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80271360)
代田 欣二 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70147974)
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Keywords | mast cell / BMMC / lipopolysaccharide / 自然免疫 / peptidoglycan / サイトカイン / DNAアレイ |
Research Abstract |
1.マスト細胞におけるTocopherol-associated Protein (TAP)の発現について検討したところ、食細胞と同様にTAFの発現が認められた。しかしながら、マスト細胞でのTAPの役割は、その他の細胞で見られるようなTocopherolに高親和性を示すことによるNFkBシグナリングの阻害の結果もたらされる抗炎症性作用ではないことがtocopherol添加によるTAPの細胞質局在から明らかになった。現在のところマスト細胞でのTAPの役割については不明であるが、LPS存在下で炎症性サイトカインがUp-regulateされることから免疫応答に関与していることが示唆された。 2.免疫機能を解析する上でmRNAを正確に測定することは重要である。マスト細胞に細胞質内に多くの化学的眼メディエーターが内在することから微量のmRNAの回収率が悪いことが知られている。そこで現在知られているmRNAの測定方法についてマスト細胞の代表的なmRNAに対する信頼性を検討した。用いたRT-PCRは、conventional, competitive, real-timeの3種類であったが、いずれの測定値もよく相関していた。サンプル間での測定値の相違はconventional, competitive, real-timeの順で小さく、測定方法に感度に相関していた。いずれの方法もマスト細胞でのmRNAの検出には問題なく、定性あるいは定量・サンプル数、遺伝子間での比較など目的に合わせて使い分けることが可能であることが明らかとなった。 3.免疫応答で重要な役割を果たすことが理解されてきたマスト細胞であるが、その分化誘導についてはあまり知られていない。マウスマスト細胞プロテアーゼ(mouse mast cell proteases (mMCPs)はマスト細胞の顆粒に含まれる主要な蛋白の一つであり、マスト細胞の分化と深く係わっている。現在までmMCPには9種類が知られており、いずれもセリンプロテアーゼに属している。各々のmMCPは組織特異的に発現しており、mMCP-6は結合織型マスト細胞では発現しているが、粘膜型マスト細胞では発現していない。また未成熟型マスト細胞であるマウス骨髄由来マスト細胞(mouse-bone-marrow-derived mast cell, BMCMCS)は移植された環境に応じて成熟型を変えることが知られているが、その機構についてはほとんど知られていない。MCPsは動物種に関係なく共通して持っていることから、そのマウスマスト細胞でのmMCPs分化誘導過程の解明は未だ知られていないマスト細胞成熟過程への解明に繋がる。我々はこれまで、TGFβがBMCMCSでのmMCPの発現に関与することを明らかにしてきた。ここではmMCP-6のTGFβによる誘導について検討した。定量的なリアルタイムPCRでは、TGFβを添加されたBMCMCSのmMCP-6 mRNA発現の転写活性が上昇していた。レポーターアッセイによりこの転写にはSmad3が関与しており、そのTGFβの転写部位は-153bpであった。マスト細胞やメラノーマ細胞の主要な転写因子であるMicrophthalmia-associated transcription factor (MITF)もまたmMCP-6の転写を刺激した。mMCP-6プロモーターの-166bp部位がMITFの転写活性を示した。mMCP-6のMITF結合部位はTGFβによる転写活性に絶対必要であるが、TGFβの転写反応部位はMITFによる転写には必要ないことが明らかとなった。TGFβによるmMCP-6の転写活性はMITFの異型によって違った反応を示すことも明らかとなった。これらの結果から、マスト細胞の免疫応答における働きはTGFβによる伝達系と異なったMITFの伝達の違いによるmMCP-6の発現誘導によって調節されていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)