2004 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見された遺伝性白内障マウスに関する研究:新しい疾患モデル動物の開発
Project/Area Number |
16580253
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡田 利也 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00169111)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向本 雅郁 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (80231629)
松山 聡 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (10254442)
|
Keywords | EGF / 遺伝解析 / FGF / ddY系マウス / 白内障 / TGF-β |
Research Abstract |
本研究はddY系マウスに新たに発見された遺伝性白内障の特性を明らかにし、新しい疾患モデル動物として確立することを目的としている。本年度はddY系遺伝性白内障マウスに関して、以下の成績を得た。1.本白内障マウスの肉眼的発症時期は6〜8週齢で、発症率は100%、遺伝様式は常染色体劣性遺伝であった。2.組織学的に4週齢より水晶体線維の膨化が観察され、3〜6週齢において水晶体上皮細胞のFGF-1、FGF-2およびTGF-βの発現が増加し、FGFとTGF-βの発現増加が白内障の発症に関与することがわかった。3.原因遺伝子の存在する染色体を明らかにするため、日本産野生マウス(MSM/Ms)との戻し交配世代{ddY系白内障マウス×(ddY系白内障マウス×MSM系マウス)}の発症個体ついて連鎖解析を行った。60例全ての個体で第2染色体上のマイクロサテライトマーカーD2Jpk4が白内障ホモを示し、第2染色体上に原因遺伝子が存在することが明らかになった。4.さらに、原因遺伝子の位置を明らかにするために、戻し交配世代の発症個体332例について連鎖解析を行った。原因遺伝子はD2Mit515およびD2Mit467〜D2Mit320及びD2Mit368の3.91cMの領域に位置していた。5.白内障発症による水晶体蛋白の発現の変化を調べるため、発症個体ならびに正常個体の水晶体から抽出した蛋白の泳動を行った。発症個体で減少していた28kDa付近の蛋白のアミノ酸配列を調べたところ、β-crystallin B1であった。 以上のことから、遺伝性白内障マウスにおける遺伝様式、形態学的特性、原因遺伝子の染色体上での詳細な位置が明らかになった。今後は、本白内障マウスの行動学的特性を明らかにするとともに、原因遺伝子の同定、候補遺伝子の検出ならびにヒトにおける相同遺伝子を明らかにするための実験を計画している。
|
Research Products
(2 results)