2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規-胃内分泌ホルモン・グレリンからみたH.Pyroli関連疾患群の分子病理
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16590283
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
関根 一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60039922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敏幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (30284673)
中島 正洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (50284683)
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00233198)
山下 俊一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
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Keywords | グレリン / H.Pylori / 萎縮性胃炎 / ガストリン / BMI / レプチン |
Research Abstract |
研究方法は長崎大学倫理委員会の承認後、インフォームドコンセントの得られた長崎大学医学部附属病院光学診療部で胃内視鏡検査受けた患者112名を対象に、血漿、血清を採取し、グレリン(N-terminal & C-terminal)、IGF-1、GH、ガストリン、ペプシノーゲンI/II、レプチンの測定を行った。また身長・体重よりBMIを求めた。内視鏡による観察で、粘膜萎縮程度をシドニー分類行い、血清抗体価・呼気尿素窒素試験によりH.Pyloriの同定を行った。 H.Pylori陰性の患者の血漿グレリン値は175.4+/-118.6fmol/mlであったのに対して、H.Pylori陽性のグレリンレベルは99.1+/-44.4fmol/mlと有意に低値であった。また血漿グレリンレベルは内視鏡的な胃粘膜萎縮度とも有意な負の相関性がみられ、ペプシノーゲン1/2比でみた胃粘膜萎縮度とも有意な相関性がみられた。さらにH.pylori陽性群では、加齢との関連性も認められた。レプチンとH.pylori感染に関しては、血漿レベルではBMIで補正した場合有意差はなかったが胃粘膜局所では陽性患者で高値を呈した。血漿ガストリン値は、H.pylori陽性者で上昇傾向にありレプチンとの相関性がみられた。アモキシシリン・クラリスロマイシン・プロトンポンプ阻害薬によるH.pylori除菌治療を12名の患者で行い、除菌が成功した9名のうち3名で、グレリンは著明に増加した。一方、除菌が成功しなかった3例では、グレリンレベルは僅かに低下した。 以上の結果より、長期的なH.pylori感染が各種消化管ホルモンに影響を及ぼしてる可能性が示唆された。除菌前後の病理的変化とグレリンの関連を現在検討中だが、除菌成功例では、数ヶ月経つと、血中グレリンレベルが回復してくる例がさらに増えてくることより(未発表)、H.pylori持続感染による局所炎症性サイトカインなどによるグレリン産生内分泌細胞のturn-overに対する影響などが考えられた。
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Research Products
(3 results)