2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児期の生活習慣とインスリン抵抗性をベースとする生活習慣病リスクに関する国際比較
Project/Area Number |
16590886
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹本 幸司 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (10346679)
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Keywords | 小児生活習慣病 / 国際比較 / インターベンション / アディポサイトカイン / レジスチン |
Research Abstract |
本年度は日本に加え、アメリカ、イタリア、タイの小児の血液検体の測定を行った。検体の測定項目は総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪等の血清脂質、レプチン、アディポネクチン、レジスチン等のアディポサイトカイン、インスリン抵抗性指標のための血糖、インスリン(IRI)をいずれも空腹時採血検体を用いて計測した。また、各国の食事調査、生活活動強度算出のための平日2日間、週末1日間の生活調査のデータを収集した。 本来はこれらのデータを4カ国間で比較検討し、どのような傾向があるか、どのような違いがあるか等を解析し、さらに各国での生活習慣、生活習慣病のインターベンションプログラムを作成、その介入効果を追跡調査することが本研究の最大の目的であった。しかし、平成17年度初頭までに完了する予定であった前述の測定、調査が平成18年度初頭までずれこんでしまったこと、本研究の当初の研究代表者であった貴田嘉一教授の急なご逝去があったこと、故貴田教授がほとんど全て行っていた海外の共同研究者との連絡が一時不能になったこと等により研究の進行がやや遅れた。現在暫時解析中で、徐々に成果が出始めているところであるが発表形式に至っていない。今後前述の研究成果が発表される予定である。 そこで、予備研究として本邦小児での前年度までの研究に加え、今後4カ国間で行うであろう新な検査項目につき解析した。検査項目はアディポサイトカインの中でも前年までは注目していなかったレジスチン、高分子アディポネクチンを測定し、特にレジスチンとの関連につき興味深い結果が得られた。 同じアディポサイトカインでもレプチンやアディポネクチンは体脂肪率、BMI等の内臓脂肪(肥満)と関連する体格指数や血清脂質と有意な関連があったことは前年度の研究で示されたが、レジステンはそれらとは全く相関がなかった。その代わりに血圧や空腹時血糖との有意な相関がみられた。また、性別、年齢、腹囲で調整した場合にもレジスチンは、空腹時血糖と有意な相関を示した。従ってレジスチンは内臓脂肪とは独立して、インスリン抵抗性を介して空腹時血糖や収縮期血圧を上昇させることが示唆された。 今後はこれらを含めた国際比較を行い、インターベンションプログラムを作成する予定である。
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