2005 Fiscal Year Annual Research Report
右脳・左脳の包括的遺伝子解析による高次機能発達機構の解明
Project/Area Number |
16591038
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
吉良 龍太郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70304805)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 康成 九州大学, 大学病院, 助手 (10380396)
鳥巣 浩幸 九州大学, 大学病院, 臨床助手 (10398076)
杉山 博之 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20124224)
高嶋 幸男 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (70038743)
|
Keywords | 脳 / 左右差 / 遺伝子多型 / 脳機能 / 記憶 / 脳機能画像 |
Research Abstract |
ヒトの個体レベルの研究として、記憶の想起に関わる認知プロセスとその神経基盤を明らかにするため、51名の健康若年成人を対象に、赤外線イメージング法(near-infrared spectroscopy ; NIRS)を用いて、エピソード記憶の想起の成功(old/new effect)を解析した。タスクの提示は、正しく古く分類された事柄と新しく分類された事柄を直接比較できるevent-related designにより行った。非言語性タスクにおいて、1)タスク成績と関係するold/new effectは下部頭頂部とくに左側に見られ、2)成績と関係しないeffectは腹外側前頭皮質とくに右側で認めた。非言語性記憶想起の成功の神経基盤を初めて機能画像で明らかにした。 次に、脳機能に関与する転写因子の一塩基多型(SNPs)と記憶能力の個人差との関連を明らかにするため、健康若年成人102名を対象に日本版Wechsler Memory Scale-Revised (WMS-R)を行い、各指標得点とSNPsの関連を検討した。さらに言語表出(verbal fluency)とSNPsの関連についても検討した。Williams症候群の知的障害に関与する主要な遺伝子であるgeneral transcription factor II-I repeat domain containing 1 (GTF2IRD1)のVal652 Met多型のValアリル非保有者は保有者に比べ、「一般的記憶」とその下位項目である「言語性記憶」の得点ならびにverbal fluency scoreが有意に高いことが明らかになった。機能画像で左右差を認めたタスク成績とSNPsとの関連は認めなかった。Val652 MetによりGTF2IRD1の機能が変化し、言語記憶や言語表出に影響する可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)