Research Abstract |
妊娠ラットを用いて,LPS羊水腔内投与を行い,新生ラットに慢性肺疾患実験モデルを作成した.交配により妊娠期間が確定している妊娠21日のラット(WKAH)の羊水腔内にLPS(1μg)を投与(対照群には同量の生理食塩液を投与)し,投与後24時間に帝王切開にて新生仔を娩出させ,里親ラットによりroom airで飼育した.各日齢(1,3,7,14,21,45,60)における肺構造変化を,Morphometryを用いて解析した.LPSを用いた群では,肺胞表面積減少,肺胞数減少,肺胞半径拡大が認められた.これらは,日齢7より著明となり,日齢60も持続した.結果としてfewer and larger alveoliを呈した.光顕像では,LPSを用いた群で,肺胞2次中隔の減少が認められたが,肺胞破壊像は認められず,弾性膠原繊維の量や分布にも差を認めなかった.LPSを用いた群では,肺胞破壊の所見は認められず,肺胞の2次中隔が減少している事から,fewer and larger alveoliは,alveoralizationの阻害によるものと推察された.本研究成果を第40回日本周産期・新生児医学会およびXX International Congress of the Society ‘The fetus as a patient'で発表した. 胎児期に暴露されたLPSによるalveoralizationの阻害に対する,成長ホルモンの治療効果の評価を目的に,LPS出生前投与による慢性肺疾患モデルに対して,各種投与量の成長ホルモンを生後に投与し,alveoralizationを有意に回復する最低投与量と,最大効果を得られる最低投与量の検索を行っている.平成17年度は,実験を継続すると共に,LPSによるalveoralization阻害の機序解明を行う計画である.
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