2005 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内炎症がヒツジ胎仔の脳血流ならびに脳室周囲白質軟化発症に与える影響の解析
Project/Area Number |
16591072
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松田 直 東北大学, 病院, 講師 (50361100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 芳孝 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (40261622)
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Keywords | 応用動物 / 脳・神経 / 脳神経疾患 / 病理学 |
Research Abstract |
子宮内炎症がヒツジ胎仔の脳血流ならびに脳室周囲白質軟化の発症に与える影響を解析するために,妊娠104日にヒツジ胎仔を用いた慢性実験系を作成した.全例に妊娠106日からG-CSF20μg/日を5日間静注し,妊娠108日にendotoxin 20 mgを羊水内に注入した.妊娠109日に対象を以下の三群に分けて負荷実験を実施した.以下に各群の基礎データ(いずれも三群間の比較に有意差なし)および基本的な実験成績(1)〜(5)を示した. 群名 負荷内容 胎仔体重(kg) 循環血液量(ml) 胎仔脳重(g) #脱血群:循環血液量の40%を脱血(n=5) 1.94±0.12 252±33 32±2 #貧血群:同量を保存血漿と交換輸血(n=5) 1.92±0.11 202±16 33±1 #対照群:負荷なし(n=5) 1.97±0.18 219±20 31±1 (1)G-CSF/endotoxin投与にて胎仔血中好中球数は著しく増加し(p<0.05),負荷実験の前値で三群間に有意な差はなかった(脱血群2.60±1.00×10^3/μl,貧血群1.49±0.39×10^3/μl,対照群1.35±0.41×10^3/μl). (2)Endotoxin投与後9時間から低酸素血症と同時に脳組織中Hb濃度の持続的増加が観察され(p<0.05),その程度において三群間に有意な差はなかった(脱血群7.9±1.8%,貧血群9.0±2.5%,対照群9.3±3.7%). (3)負荷実験によって脱血群(-15.1±2.7%)と貧血群(-13.6±5.2%)ではいずれも脳組織中Hb濃度の急激な減少が負荷後4〜6時間まで持続し(p<0.05),その後は徐々に増加して負荷後24時間には前値レベルまで回復した.(4)妊娠114日の剖検において,すべての胎仔で壊死性の卵膜炎ならびに臍帯炎が観察されたが,その程度において三群間に有意な差はなかった.(5)脳室周囲白質軟化病変は脱血群(4/5例)と貧血群(4/5例)のみに観察され,対照群には認められなかった(p<0.05). 上記の成績にもとづき,壊死性卵膜炎/臍帯炎が誘導されるような子宮内炎症の下では胎仔脳血流量が代償性に増加するが,出血性低血圧や貧血性低酸素によってこの代償反応が破綻させられた場合,高率に脳室周囲白質軟化が誘導される可能性が高いと結論できた.
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Research Products
(3 results)