2005 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いた脳賦活検査による軽度認知機能障害患者の早期診断法の確立
Project/Area Number |
16591133
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
数井 裕光 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30346217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池尻 義隆 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30294086)
奥 直彦 大阪大学, 医学部付属病院, 講師 (40346193)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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Keywords | 軽度認知機能障害 / アルツハイマー病 / PET / SPECT / 記憶課題 / 遅延再認 / 連合記憶 |
Research Abstract |
1,PET内で施行できる軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)者に適した記憶課題の開発と施行:MCI者にPET装置内で施行可能な記憶課題として、まず視覚刺激を用いた対連合記憶課題を作成した。刺激はInternational Affective Picture System(IAPS)から情動的に中性の視覚刺激を選択した。8対の対連合課題では、3名のMCI者の平均点が2.3/8、6対の課題の別の3名のMCI者の平均が1.3/6でともに低得点であったため今回の課題としては不適切であると考えた。そこで12個の刺激を用いた遅延再認課題を作成した。この課題の6名のMCI者の平均点は11.2/12でアルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)の平均点4.7/12よりも高く適切な課題であると考えられた。そこでこの課題76歳男性MCI者に用いて記憶課題施行中の脳活動を測定した。対照課題は、主として2種類の視覚刺激が交互に提示される中、一度だけ他の刺激が交じるがその新規の刺激を検出するよう指示するものであった。記憶課題の平均再認数は、8/12であった。SPMで解析した結果、対照課題と比較すると記憶課題施行中には、左上前頭回、左中側頭回、右契前部、左中心回、左下頭頂葉の賦活が認められた。さらに遅延再認の成績は、記憶課題施行中の左上前頭回、右下前頭回、右中心回の賦活と関連を認めた。これらの領域がMCI者の記憶機能および記憶障害と関連する可能性が示唆された。 2,MCIの記憶障害の責任部位の検討:MCI12例においてIMP SPECTで測定された脳血流とWMS-Rの全般性記憶および遅延再生スコアとの関連をSPMで解析した。その結果、全般性記憶加重配点合計と有意な相関を認めた部位は、両側海馬、左上側頭回、左中側頭回、左視床で、さらに年齢、CDRの影響を除外してもsmall volume correlationによって両側海馬との有意な相関は残った。遅延再生加重配点合計は両側頭頂葉、両側後部帯状回、両側契前部の脳活動と有意な関連を認め、年齢、CDRの影響を除外しても左契前部、両側後部帯状回との有意な相関は残った。以上より、MCIにおいて30分程度の遅延時間をおいた後の再生障害は契前部、後部帯状回の低機能と関連し、比較的短時間の遅延時間をおいた後の再生障害には海馬が重要である可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)