2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しいリンパ指向性薬剤を用いた見張りリンパ節標的療法による微小転移制御法の開発
Project/Area Number |
16591352
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20204878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 博司 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00146599)
向井 萬起男 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50101895)
須田 康一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10348659)
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Keywords | Sentinel node / 微小転移 / Drug delivery system / リンパ節転移 / 抗腫瘍化学療法 / リンパ系 / MPC polymer |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍から最初に直接のリンパ流が到達する見張りリンパ節(Sentinel node,以下SN)に形成される微小転移を制御する新しい手法を開発することを目的とした。近年、SN理論、すなわち「腫瘍から直接のリンパ流を受けるSNに微小転移が最初に形成される」という仮説に基づいて、SNを同定し、SNにおける微小転移診断を行うことにより所属リンパ節転移診断をより高感度かつ効率的に施行し、リンパ節郭清の範囲や郭清の必要性そのものを決定する手法、Sentinel node navigation surgery (SNNS)が注目されている。本研究はSNNSにおける技術を、転移診断のみならず微小転移の制御、治療へ応用したものである。抗癌剤パクリタキセル(PTX)封入水溶性MPCポリマーの作製したところその粒子径は50-100nmとなり、これまでのSNNS関連基礎研究からリンパ移行性に優れた粒子であることが判明した。ラット盲腸漿膜下にPTX封入ポリマーを注入後、腸間膜リンパ節への移行を薬剤濃度により評価した。SNでは非SNに比して約9倍の薬剤濃度を示し、経静脈投与では達成しえない高濃度のPTX集積がSNにおいて観察された,Wistar系ラット盲腸壁にDonryuラット由来腹水浮遊肝癌細胞株AH130を注入し24時間後に、PTX封入ポリマー粘膜下注入群、生食粘膜下注入群、PTX封入ポリマー尾静注群を作成し、腸間膜SN転移状況、30日後生存率を比較検討した。PTX封入ポリマー粘膜下注入群では他の2群に比してSN転移巣重量が有意に抑制され、また生存率の有意な改善が認められた。以上より本手法はリンパ系を介した新規抗腫瘍療法として有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(20 results)