2005 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃核内嗅領海馬神経回路の側頭葉てんかんに対する抑制作用の研究
Project/Area Number |
16591462
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長尾 建樹 東邦大学, 医学部, 助教授 (20167555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清木 義勝 東邦大学, 医学部, 教授 (80147561)
狩野 利之 東邦大学, 医学部, 講師 (10297658)
青木 美憲 東邦大学, 医学部, 助手 (70349851)
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Keywords | 切片 / てんかん / 海馬 / 内嗅領 / 扁桃核 |
Research Abstract |
側頭葉てんかんの病理所見は海馬の神経細胞脱落が特徴的で海馬硬化症として知られているが、近年、海馬に隣接した、海馬への神経入力線維のほとんどが起始している内嗅領での神経細胞の変性が報告され、海馬とともに形成される神経回路が側頭葉てんかんの発現に重要な役割を演じていると考えられてきている。また、扁桃核との関連も発作の伝播や抑制において注目されている。大脳辺縁系全体に及ぶ側頭葉てんかん発作のメカニズムを明らかにするために拡大した神経回路を保った切片の開発が重要と考えられ、扁桃核、内嗅領、海馬を同一平面上に含む切片の作製を計画した。 本年度は解剖学的特徴を捉えながらラット海馬内嗅領扁桃核領域を様々な角度から切り出し、神経回路を保ち安定した電気生理学的反応が得られる扁桃核内嗅領海馬切片作製法を確立することを計画した。この切片を使用して、けいれん誘発物質であり、かつ、けいれん抑制に働くGABA介在神経をも賦活するアミノピリジンを切片上に潅流投与して、切片上の扁桃核、内嗅領、海馬、各部位からの細胞外電位を記録し、誘発される発作波を検討した。研究成果と問題点を挙げる。 1.腹側の海馬内嗅領扁桃核が同一平面内に神経回路を保ちやすいが個体差が著しい。その切片の切り出しのおおよその角度が大脳長軸とほぼ平行したものから15度頭頂方向のものに良好な反応が得られた。また、切片の厚さは500umm以上必要であったが、あまり厚く切ると反応が鈍くなる。 2.わずかな皮質の損傷でも影響を受けるため、切片切り出し時には高周波のビブラトームが必要であったが、断頭時の脳摘出手技も迅速かつ繊細に行なわなければならず熟練を要した。 3.アミノピリジンにより誘発される発作波に対して、扁桃核の刺激が抑制的に働いていた。しかし個体差があり、刺激方法に検討の余地があるが、扁桃核の抑制的な機能の可能性が示唆された。
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