2005 Fiscal Year Annual Research Report
介助動作における腰部椎間板の3軸方向の圧迫力と体幹筋疲労に関する実験的研究
Project/Area Number |
16591481
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 克之 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (60178902)
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Keywords | 腰部椎間板 / 腰部圧迫力 / 介助動作 / 超音波式3次元解析 / 体幹筋活動 |
Research Abstract |
1.医療、福祉分野に従事する保健医療従事者の腰痛罹病率は、日本災害医学会において70〜80%に達すると報告されている。中でも腰痛発生の起因は、体位交換や車いすへの移乗動作の介助が50%以上を占めている。従って好ましい介助方法や福祉用具の使用が、腰部椎間板圧迫力を減荷させるデータを明示することが、腰痛罹病を未然に防ぐためには急務であると考える。そこで今回の研究目的は、ベッドから車いすへの移乗時に、介助者の腰部椎間板内に生じる圧迫力を、福祉用具の使用の有無および介助方法の違いが、腰部椎間板に及ぼす影響について明示することである。 2.対象:本実験の主旨に同意した健常女性12名であった。年齢22.4±1.2歳、身長157.5±4.7cm,体重は49.3±5.6kgであった。 3.実験課題:ベッドの端に腰掛けた模擬患者(独力で移乗できない重度な患者を想定)を、車いすへ移乗させる介助動作である。介助課題は福祉用具を持ちない方法(task1)、模擬患者の腰部をスリングで支え、介助者が体幹を回旋させ移乗する方法(task2)、模擬患者をスリングで支え、介助者の軸足を回転させて、体幹を回旋させずに移乗する方法(task3)を行わせた。また介助課題ごとに身体負荷の程度を主観的尺度で評価した。 4.結果:task2、task3は、task1よりも介助者の体幹屈曲角度は平均、25,6゜、腰椎屈曲角度14.3゜、骨盤傾斜角度は10.4゜減少した。また腰部椎間板内に生じる圧迫力の算出値は、task1が2000〜2400N、task2が1500〜1700N、task3が1400〜1600Nであった。すなわち、福祉用具を使用したtask2、task3では、福祉用具を使用しないtask1よりも圧迫力は400〜600N軽減することが明らかとなった。また介助者の主観的評価は、task1が平均6.2点、task2が平均4.4点、task3が平均3.8点であり、主観的評価尺度と圧迫力の間には正の相関(r=0.56)を示した。 今後、さまざまな福祉用具の使用や用い方の工夫による比較を多角的に行い、医療、保健、福祉分野における腰部負荷の標準化を進めて行く予定である。
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Research Products
(1 results)