2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインCインヒビターによる腎癌の発生、増殖及び転移阻止機構の解明
Project/Area Number |
16591592
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
林 辰弥 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00242959)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏治 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70077808)
岡本 貴行 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30378286)
|
Keywords | プロテインCインヒビター / 乳癌細胞 / セリンプロテアーゼインヒビター / 浸潤 / 転移 / 反応部位 |
Research Abstract |
プロテインCインヒビター(PCI)は主として肝臓、腎臓、及び精巣、卵巣などの生殖臓器で産生されるセリンプロテアーゼインヒビターで、血漿PCIは、抗凝固セリンプロテアーゼの活性化プロテインC(APC)の阻害因子として、尿中PCIは、主として尿プラスミノゲンアクチベータの阻害因子として、精漿PCIは前立腺特異抗原や精子アクロシンなどの阻害因子として機能する。我々は、これまで、腎臓では主として近位尿細管上皮細胞でPCIが発現されること、腎癌及び株化腎癌細胞(両者とも腎近位尿細管上皮細胞由来)ではPCIの発現が著しく低下すること、PCIがin vitroでの株化腎癌細胞のマトリゲル浸潤能を抑制すること、さらに株化腎癌細胞でのPCI発現低下は、PCI遺伝子の転写調節領域に位置する特定のCpG配列のメチル化に起因することを見出した。そこで、本研究では、これまでの研究をさらに発展させ、株化乳癌細胞を用いて、PCIの癌細胞のin vitroにおける浸潤能やin vivoにおける増殖、浸潤・転移能に及ぼす影響及びそれらにおけるPCIのプロテアーゼ阻害活性の必要性に関して、PCI、プロテアーゼ阻害活性を持たないPCIの354番目のアルギニンをアラニンに変化させたPCI(R354A-PCI)及びプロテアーゼにより分解されたPCIのN末端側断片(NT-PCI)を発現する乳癌細胞を遺伝子工学的手法を用いて作成し、検討した。その結果、in vitroにおける浸潤能は、PCI発現乳癌細胞で低下したが、R354A-PCI及びNT-PCI発現乳癌細胞では変化せず、in vivoにおける増殖及び転移能は、PCI発現乳癌細胞と同様に、R354A-PCI及びNT-PCI発現乳癌細胞で低下した。 以上の結果から、癌細胞のin vitroにおける浸潤阻害活性はPCIのインヒビター活性に依存し、in vivoにおける増殖、浸潤・転移抑制活性はPCIのインヒビター活性に依存しないことが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)