2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591721
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山根 英雄 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60145787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 雅裕 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60326254)
角南 貴司子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60315992)
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Keywords | 内耳 / 蝸牛 / 一酸化窒素 / グルタメート / アポトーシス / ベッチャー細胞 |
Research Abstract |
興奮性神経伝達物質であるグルタメートを介して神経節後細胞内から遊離するとされる一酸化窒素(NO)が神経細胞死に関与することが報告されているが、モルモット蝸牛正円窓にNO供与体であるNOC-5を留置し、経時的に蝸牛の変化を検討した。投与12時間後では内耳蝸牛には著明な変化は認められなかったが、投与28時間後には36±6.6%の感覚細胞(外有毛細胞)死を認め、投与72時間後では4.9±1.2%に減少していた。微細形態学的にはこれら細胞死はアポトーシスの様相を呈していた。細胞死に至る時間経過、および形態学的所見より、NOにより内耳蝸牛外有毛細胞がアポトーシスに陥ること、および、グルタメートによる内耳蝸牛障害はNOにより惹起される可能性が示唆された。種々刺激によるグルタメートの過多遊離から生じる内耳障害にNOの抑制が有用であるか否かは次の検討課題である。 内耳蝸牛の基底回転側のコルチ器に存在するベッチャー細胞に関してはその機能が不明であった。我々はラット内耳蝸牛の検討から、ベッチャー細胞に一酸化窒素合成酵素(NOS)の存在を認めた。微細形態学的にはNOSは同細胞の側縁の微絨毛に多く存在した。この事実は同部でのNOの動態を示唆するものであるが、内耳における機能的意義に関しては不明である。ただ内耳蝸牛基底回転における内外リンパ液の界面にNOを介するシステムの存在が示唆されたことは蝸牛の音受容と内耳液恒常性維持の面から今後検討する必要がある。
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