2005 Fiscal Year Annual Research Report
加齢黄斑変性とポリープ状脈絡膜血管症に対する光力学彬法
Project/Area Number |
16591773
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
湯沢 美都子 日本大学, 医学部, 教授 (60139160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正巳 日本大学, 医学部, 講師 (50297826)
石原 菜奈恵 日本大学, 医学部, 研究医員 (50328754)
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Keywords | 光線力学療法 / 加齢黄斑変性 / 中心窩脈絡膜新生血管 / ポリープ状脈絡膜血管症 |
Research Abstract |
1.加齢黄斑変性の中心窩脈絡膜新生血管(CNV)に対する光線力学療法(PDT)の1年後の結果 (1)治療成績: 97例97眼に対して行ったPDTでは、視力の改善(log MARで0.3以上)は18眼(19%)、不変は53眼(54%)であった。0.4以上の視力は23眼(24%)であり、施行前22眼とほぼ同じだった。重回帰分析では、1年で視力が0.4以上になるPDT前要因は視力が0.4以上、病変が1800μm以下であり、視力が良く小さい病変が良い適応になることが明らかになった。 (2)脈絡膜への影響: PDTの影響としては、照射野に一致した脈絡毛細血管板の循環障害を示す低蛍光領域が初回PDT後3カ月のフルオレセイン蛍光造影(FA)では30眼中23眼(77%)にみられた。低蛍光の所見は初回PDT後9カ月では施行したPDTの回数が多いほど高頻度に見られ、初回のみでは9カ月後13眼中2眼(10%)であったのに対し、初回、3カ月、6カ月の3回照射を行った20眼中16眼(80%)にみられた。また、照射野内の脈絡膜血管の狭細や消失、脈絡膜血管からの血管外漏出や、血管炎を示唆する所見、低率ではあるが一過性の脈絡膜動脈閉塞がみられた。 以上のことからPDTは加齢黄斑変性において、1年間の視力維持に有効であることが明らかになった。しかし脈絡膜への影響が見られることもあり、視細胞の機能を含め、評価には更なる経過観察が必要であると考えられた。 2.ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対するPDTの1年後の結果 FAでAMDと診断され、インドシアニングリーン蛍光造影(IA)ではPCVの所見を示した37眼にPDTを行った。1年後視力の改善(log MARで0.2以上)は12眼(33%)、不変16眼(43%)であった。IA所見ではポリープ状病巣は31眼(84%)で全て消失したが、異常血管網は28眼76%では不変であった。PDT後9カ月で2眼、12カ月で1眼にポリープ状病巣が再発した。 以上の結果はPDTによって出血、滲出の原因になるポリープ状病巣はすみやかに消失し、視力の維持・改善が得られるが、異常血管網が残存するため長期的にはポリープ状病巣が再発する可能性があり、その有用性を調べるためには長期の経過観察が必要であると考えられた。
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