2006 Fiscal Year Annual Research Report
加齢黄斑変性とポリープ状脈絡膜血管症に対する光力学彬法
Project/Area Number |
16591773
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
湯沢 美都子 日本大学, 医学部, 教授 (60139160)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正巳 日本大学, 医学部, 講師 (50297826)
森 隆三郎 日本大学, 医学部, 助手 (90350024)
|
Keywords | 光線力学療法 / 加齢黄斑変性 / 中心窩脈絡膜新生血管 / ポリープ状脈絡膜血管症 |
Research Abstract |
1.加齢黄斑変性の中心窩脈絡膜新生血管(CNV)に対する光線力学療法(PDT)の1年後の結果 (1)治療成績: 207例207眼に対して行ったPDTでは、視力の改善(log MARで0.3以上)は45眼(23%)、維持は113眼(55%)であった。0.4以上の視力は54眼(24%)であり、施行前とほぼ同じだった。重回帰分析では、視力の維持・改善はPDT前の病変が小さいことと視力が良いことと関係があった。1年で視力が0.4以上になるPDT前要因も視力が良いことと、病変が小さいことであった。 (2)脈絡膜への影響: 72例72眼を12か月間のPDT回数によって1回群、2回群、3〜4回群の3群に分類した。1年後インドシアニングリーン蛍光造影(IA)では1回群11/23(49%)、2回群18/25(72%)、3〜4回群22/24(94%)で照射野に一致した低蛍光が見られ、低蛍光の出現率は、PDT回数と相関がみられた(p<0.005)。フルオレセイン蛍光造影(FA)では72眼いずれにも照射野に一致した低蛍光はみられなかった。 以上のことからPDTは加齢黄斑変性において、1年間の視力維持に有効であることが明らかになった。また、病変が小さい場合や視力が比較的良い場合が良い適応になることが分かった。しかし施行回数が増えると、軽度ではあるが、脈絡毛細血管板の閉塞が見られる割合が増えるので、評価には更なる経過観察が必要であると考えられた。 2.ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対するPDTの2年後の結果 FAでAMDと診断され、IAではPCVの所見を示した46例46眼にPDTを行った。2年後視力の改善(log MARで0.2以上)・維持は33眼(72%)、にえられた。IA所見ではポリープ状病巣の再発は29眼(63%)にみられ、1年以内は6眼、それ以降は23眼で、いずれも異常血管網の辺縁であった。 以上の結果はPDTによって出血、滲出の原因になるポリープ状病巣はすみやかに消失し、視力の維持・改善が得られるが、異常血管網が残存するため長期的にはポリープ状病巣の再発が多いことを示している。
|