2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケロイド・肥厚性瘢痕治療に向けての基礎的研究(VEGFと血管形成)
Project/Area Number |
16591805
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
上田 晃一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90257858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 佳子 近畿大学, 医学部, 教授 (10025629)
辻 求 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (60144466)
大場 創介 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (80233253)
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Keywords | ケロイド / 肥厚性瘢痕 / VEGF / 虚血 |
Research Abstract |
手術時に切除されたケロイド・肥厚性瘢痕をCD31抗体で免疫染色し、染色された血管を計測して組織内部での循環状態について考察した。デジタル光学顕微鏡を用いて免疫染色された血管を観察し、画像解析ソフト(Act2U)を用いて血管内腔の長径を測定し、形態から細動脈、細静脈、毛細血管に分類したところ、ケロイドでは肥厚性瘢痕と比較して、毛細血管の数が多く、細静脈と細動脈の数が少なかった。 計測結果 血管数 5症例のケロイドおよび肥厚性瘢痕それぞれについて無作為に選んだ10視野の合計50視野のdefinite area(縦220μm×横294μm)における細動脈、細静脈、毛細血管を同定、計測した。 (1)細動脈数 ケロイドでは50視野あたり平均1.2個、肥厚性瘢痕では6.2個の細静脈が観察された。Mann-WhitneyのU検定でp=0.03で有意差を認めた。 (2)毛細血管数 ケロイドでは平均65.4個、肥厚性瘢痕では48.4個の毛細血管が観察された。Mann-WhitneyのU検定で有意差を認めなかった。 (3)細静脈数 ケロイドでは平均1.0個、肥厚性瘢痕では6.4個の細静脈が観察された。Mann-WhitneyのU検定でp=0.01で有意差を認めた。 考察 今回の結果では、ケロイド内部では細動脈や細静脈が少なく、毛細血管が多いという結果が得られた。一方で、肥厚性瘢痕ではケロイドに比較して有意に細動脈や細静脈の数が多い結果が得られた。われわれの他の研究結果で、手術時に切除されたケロイドの乳酸の値が、肥厚性瘢痕と比較して有意に高いという結果から、ケロイド内部で嫌気的解糖が行われている可能性が考えられた。これらの結果と今回の結果を総合するとケロイドの内部で血液の循環が十分に行われていない可能性が考えられる。
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