樹脂切片-イオンエッチング-走査電顕法による骨組織三次元微細構造の解明

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16591852
• Research Institution: Fukuoka Dental College
• Principal Investigator: 長門 俊一 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80084284)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 佐藤 敦子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (20099047) ; 杉本 幸隆 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40162896) ; 八尋 純子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (60105682)
• Keywords: エポキシ樹脂 / イオンエッチング / 走査型電子顕微鏡 / 骨組織 / 三次元構造

Research Abstract

2年計画の1年目の研究として、長管骨の三次元構造を樹脂切片-イオンエッチング-走査電顕法を応用した三次元再構築法により検索するとともに、歯周組織、特に歯根膜主線維の三次元構造を高圧電顕とオンライン三次元トモグラフシステムを用いて検索した。また、骨細胞ネットワークの情報網を検索する手だてとして、骨髄間質細胞や骨芽細胞に発現する幹細胞因子(SCF)の発現動態に着目し、さまざまなサイトカインの作用によりSCFの発現動態がどのように変化するかを調べた。
ラット上腕骨の三次元構造の検索では、内基礎層板部とハバース管周辺部で、骨細胞の配列方向や膠原細線維の走行方向に顕著な差異が認められた。ハバース管周辺部では層板構造が不明瞭で、紡錘形ないし楕円形の骨細胞は骨の長軸とほぼ平行に配列し、膠原細線維もほぼ骨の長軸と平行に配列していた。一方内基礎層板部では、イオンエッチングを施した樹脂切片の走査電顕像で、明暗の縞をなす明瞭な層板構造が認められ、膠原細線維が横断された領域が明るく、縦断された領域は暗く認められた。骨細胞の配列方向も一定でなく、骨の長軸に並行なもの、直行するもの、斜走するものなど、さまざまであった。
厚い切片(0.3〜0.5μm)を三次元トモグラフシステムを用いて解析することにより歯根膜主線維の三次元を検索し、歯根中央部のややセメント質寄りの領域に、細かな膠原線維の網状配列を確認した。
SCFの発現動態関する研究では、TGFβ1は遊離型および膜結合型の両方のmRNA発現を抑制するが、細胞膜上のSCFは逆に増加することなどを明らかにした。