2005 Fiscal Year Annual Research Report
シリカーフッ素化合物を利用した齲蝕予防および象牙質知覚過敏症治療法の開発
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16591916
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
菅 俊行 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60243713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 有希子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60294708)
石川 邦夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90202952)
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Keywords | フッ化ジアミンシリケート / フッ化ジアンミン銀 / 象牙質知覚過敏症 / シリカ / リン酸カルシウム / 人工唾液 / 象牙質透過性 / 操作型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
現在、齲蝕進行抑制剤および象牙質知覚過敏症治療剤として臨床で用いられているフッ化ジアンミン銀(サホライド)は、塗布後に歯質が黒変することからその使用は主に乳歯に限定され、永久歯に多用することは困難であった。そこで我々は、銀成分をシリカに置換したフッ化ジアミンシリケートを調製して、その象牙細管封鎖効果の持続性を人工唾液を用いて評価することにより、象牙質知覚過敏症治療薬として臨床応用可能かどうか評価を行った。ヒト抜去歯より調製した象牙質プレートに酸処理を行い、開口象牙細管を有する疑似知覚過敏象牙質プレートを作製した後、フッ化ジアミンシリケート溶液を3分間、綿球で塗布した。直ちに象牙質プレートを人工唾液中にて7日間浸漬攪拌した。象牙質プレートの象牙質透過性を定期的に測定するとともに、経時的な形態変化を操作型電子顕微鏡で観察した。フッ化ジアミンシリケート処理を行った象牙質プレートは7日後でも象牙細管はフッ化ジアミンシリケート処理により析出した結晶性物質により緊密に封鎖されていた。さらに、象牙質プレート表面には人工唾液中から析出したと考えられるリン酸カルシウム結晶が新たに堆積していた。象牙質プレートの象牙質透過性を測定した結果からも、7日間を通して、フッ化ジアミンシリケート処理前と比較して常に約90%減少していたことから、結晶が象牙細管内液の移動を持続的に遮断する能力を有していることが明らかとなった。本研究の結果、フッ化ジアミンシリケートは擬似的なヒト口腔内環境下において、開口象牙細管を結晶性物質により持続的に封鎖し、かつ唾液中からリン酸カルシウムの析出を誘導することから象牙質知覚過敏症の治療法として有用であると考えられる。
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