2005 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学理論に基づいた硬組織代替用低弾性率・高耐食性チタン合金の開発
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16591960
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
白石 孝信 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10150468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久恒 邦博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20037526)
田中 康弘 香川大学, 工学部, 助教授 (10217086)
詫間 康子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教務職員 (60160074)
宍戸 統悦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50125580)
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Keywords | チタン合金 / ジルコニウム / ビッカース硬さ / 耐食性 / 電気化学 / インプラント / 生体材料 |
Research Abstract |
現在、生体インプラント用金属材料として用いられているチタン合金にはTi-6Al-4V ELI合金やTi-6Al-7Nb合金などがある。これらのチタン合金は耐食性や比強度の点で優れているが、弾性率が緻密骨に比べて著しく高い。このため、骨内に埋入されて使用される場合、骨との間で均等な応力伝達が行われない可能性がある。一般に、骨内に埋入して使用する硬組織代替用材料では、均等な応力伝達の観点から弾性率が骨と等しいことが理想的である。そこで本研究では、生体内で高い耐食性を維持するとともに、緻密骨に近い弾性率を持つ硬組織代替用チタン合金を開発することを目的とした。 新しい低弾性率・高耐食性チタン合金を開発するための基本系として、チタンとの間で全率固溶体を形成するとともに、合金化によって溶融温度が低下するTi-Zr系に着目した。今年度は、Ti-Zr 2元系においてZr含有量を20at.%から最大で80at.%までの範囲で、20at.%刻みで増加させた4種のTi-Zr系2元合金を作製した。すなわち、高純度の純Tiおよび純Zrを所定の組成となるように秤量し、アーク溶解して合金化した後、10x10x2mm^3の板状に切り出した。これらの板状試料のビッカース硬さを、ビッカース微小硬さ試験機を用いて、荷重300gf、負荷時間15秒間の条件で10箇所測定し、平均値と標準偏差を求めた。各合金のビッカース硬さは、351.9±9.9(Ti-20at.%Zr合金)、363.5±14.2(Ti-40at.%Zr合金)、369.1±6.1(Ti-60at.%Zr合金)、274.1±9.6(Ti-80at.%Zr合金)であった。Zr含有量が20at.%〜60at.%の範囲では、Zr含有量の増加とともに硬さ値がわずかながら増加する傾向を示したが、Zr含有量が60at.%から80at.%に増加すると硬さ値が急激に減少した。この不連続な硬さ減少の原因は現在のところ明らかでない。 次年度は、今年度作製した4種類のTi-Zr系合金の生体内疑似環境下における耐食性を、電気化学的手法を用いて定量的に評価するとともに、ヤング率とポアソン比などの機械的性質を超音波パルス法によって測定する。さらに、量子化学理論に基づいて弾性率を低下させると推定される第3元素を添加したTi-Zr-X系3元合金を作製し、同様にビッカース硬さ、ヤング率、ポアソン比、耐食性等を評価する予定である。
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Research Products
(6 results)