2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する放射線・抗癌剤併用樹状細胞腫瘍内投与療法の開発:臨床試験への展開
Project/Area Number |
16592006
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 秀夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (30116131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 正人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (10243718)
|
Keywords | 細胞免疫療法 / 樹状細胞 / OK-432 / 抗癌剤TS-1 / Toll-like receptor 4 (TLR4) / 臨床試験 |
Research Abstract |
樹状細胞(DC)は主たる抗原提示細胞である。癌組織内に存在する未成熟DCは、アポトーシスを起こした癌細胞を貪食し、成熟するとT細胞に抗原を提示し、細胞障害性T細胞(CTL)を誘導する。免疫療法剤OK-432は成熟DCを誘導する。本研究においては、癌細胞死を誘導するために抗癌剤TS-1を、癌細胞を貪食したDCを成熟させるためにOK-432を併用したDC腫瘍内投与療法の抗腫瘍効果につき検討した。未成熟DCは同系マウス骨髄細胞をGM-CSF及びIL-4存在下に6日間培養することにより誘導した。同系線維肉腫細胞Meth-A移植BALB/c或いは同系扁平上皮癌細胞SCCVII移植C3H/HeNマウスに対し、TS-1(200mg/day)を7日間経口投与後、8日目にDC(1x10^6)を右側腫瘍内に投与し、6時間後にOK-432(100μg)を右側腫瘍内に投与した。TS-1により7日目までは有意な腫瘍増殖抑制効果が認められたが8日目以後の腫瘍の再増殖が著明であった。TS-1+DC+OK-432併用群では、両側腫瘍において著明な腫瘍縮小効果を認め、8匹中3匹では腫瘍は消失し、生存日数の有意な延長が認められた。DC及びOK-432投与後2日目に腫瘍浸潤リンパ球(TIL)及び所属リンパ節(LN)細胞の細胞障害活性を測定した。TS-1+DC+OK-432併用群において、TIL及びLN細胞の移植癌細胞に対する細胞障害活性の増強を認めた。同群において、治療3週後のLN細胞及び脾細胞において、メモリーCTLが誘導されていることを確認した。同活性における主たるエフェクター細胞はMHC Class1拘束性CD8^+T細胞であった。変異型Toll-like receptor (TLR) 4を保有するC3H/HeJマウスを用いた動物実験より、同治療法の抗腫瘍活性にはTLR4が重要な役割を演じていることが強く示唆された。以上の結果をふまえ、当科において標準的治療が有効でなかった難治性口腔癌に対してTS-1及びOK-432併用DC腫瘍内投与療法の臨床試験を開始した。現在試験途中であるが、有意な腫瘍縮小、腫瘍マーカー値の減少、腫瘍組織へのCD4^+およびCD8^+T細胞の浸潤、癌抗原特異的CTLの誘導が認められた症例を経験している。さらなる臨床試験の結果は次年度に報告する。現在のところ重篤な有害事象は認めていない。
|
Research Products
(6 results)