2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する放射線・抗癌剤併用樹状細胞腫瘍内投与療法の開発:臨床試験への展開
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16592006
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 秀夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (30116131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 正人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (10243718)
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Keywords | 免疫細胞療法 / 樹状細胞 / 癌免疫療法剤OK-432 / 抗癌剤TS-1 / Toll-like receptor 4 / リポタイコ酸関連分子OK-PSA / 臨床試験 |
Research Abstract |
初年度の研究結果より、抗癌剤TS-1併用樹状細胞(DC)およびOK-432腫瘍内投与療法が、固形癌に対して有効な治療法となる事が強く示唆された。本年度は同プロトコールにおいて使用する薬剤を変更し、その抗腫瘍効果につき検討した。癌細胞死を誘導するために、TS-1に変わって放射線照射あるいは抗癌剤タキソテール投与後、DC+OK-432腫瘍内投与療法を施行した。TS-1との比較において、放射線照射は同程度あるいはそれ以上の抗腫瘍効果が得られたが、タキソテール投与の場合はその抗腫瘍効果は弱いものであった。我々は、既に菌体製剤OK-432より活性成分(リポタイコ酸関連分子OK-PSA)の分離に成功している。OK-PSAは、in vitro実験にて、OK-432と比較して、より強力にDCを成熟させ、OK-PSAで刺激されたDCはアロT細胞を刺激し、IFN-γ産生ならびにアロ抗原特異的CTLを誘導した。また、担癌マウスにおいて、TS-1併用DC+OK-PSA腫瘍内投与療法はOK-432を用いた場合と比較して、さらに強い抗腫瘍効果を発現した。以上の結果をふまえ、当科において標準的治療が有効でなかった難治性口腔癌に対して『TS-1及びOK-432併用DC腫瘍内投与療法』の早期臨床試験を開始した。5例中1例で完全奏功(CR)を認めた。3例で部分奏功(PR)、1例で安定病変(SD)であった。PR2例はDC療法終了後2〜6ヶ月後に進行病変(PD)に転じた。CRが得られた症例の生検標本において、腫瘍の存在していた組織中への、著しいCD4^+およびCD8^+T細胞の浸潤が認められた。NIC共通毒性基準によるgrade3以上の重篤な副作用は認めなかった。同治療法が標準治療抵抗性口腔癌において、安全で有効な治療法となる可能性が強く示唆された。
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Research Products
(21 results)