2004 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の倫理的感受性の実態調査とその発達プロセスの構造化
Project/Area Number |
16592106
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
足立 みゆき 岐阜大学, 医学部, 助手 (20263494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 廣子 岐阜大学, 医学部, 教授 (70269637)
宮林 郁子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (40294334)
渡邉 亜紀子 岐阜大学, 医学部, 助手 (00362153)
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Keywords | 倫理的感受性 / 倫理的感受性測定尺度 / 倫理教育 |
Research Abstract |
【研究目的】看護師が実践で直面する倫理的問題に対処する能力を修得するための教育プログラム開発の課題を目指すために、看護師の倫理的感受性の実態を調査し倫理的感受性と倫理的感受性に影響を及ぼす因子を明らかにする。 【方法・結果】 (1)文献検討概念モデル作成:日本と諸外国における看護における倫理的感受性に関する先行研究の文献件検討を行った。ほとんどの研究が医師・歯科医師の倫理的感受性を測定しようとしたものであり質問構成もその目的によって異なっていた。看護師を対象に倫理的感受性を測定したものはみあたらなかった。対象により質問項目が異なることから、看護師を対象とする場合には看護の独自性を考慮した質問内容にしなければならにという示唆を得た。 (2)概念の定義づけ:Fry(1994)は、倫理的意思決定は倫理的感受性と道徳的推論能力との発達によるところが大きいことを示唆している。倫理的感受性は個人の利害に与える状況について倫理的側面を見出す能力であり、道徳的推論能力はある状況下において何をなすべきかを決定する能力であり、価値の対立を解決するために倫理的に理屈の通った行動をとるときの認知的過程である。こうした考えをもとに、本件における「倫理的感受性」についての操作上の定義づけを行い、倫理的意思決定プロセスとの関連をモデル化した。 (3)ウィスコンシン大学における倫理教育方法について:日本では、病院の倫理審査院会が臓器移植、遺伝子治療といった社会的に関心の高い倫理的問題を扱っている。しかしアメリカの病院の倫理審査委員会では日常的な倫理問題を常時扱っており、看護師もメンバーに含まれている。ウィスコンシン大学では倫理教育の一環としてこうした委員会へ学生も参加し積極的に議論に加わっている。倫理的感受性測定尺度開発にむけ、どのような教育が学生の倫理的判断に影響を及ぼすのか科目担当者へインタビューを行い、多くの示唆を得た。また、看護師の倫理に関連することとしてアドヴォカシーや倫理規定などに関する資料も入手することができた。 (4)看護師へのインタビューについて:上記、(1)(2)を元にして、測定尺度作成に先立って看護師へのインタビュー方法を検討した。内容は半構成的インタビューを行う予定であり、現在そのための同意書等を作成し倫理審査委員会に申請中である。
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