2006 Fiscal Year Annual Research Report
看護職の連携による子ども虐待予防・早期発見・対応プログラムの開発
Project/Area Number |
16592142
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
楢木野 裕美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90285320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦子 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (50196789)
三輪 眞智子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10320996)
鎌田 佳奈美 大阪府立大学, 看護学部, 講師 (30252703)
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Keywords | 子ども虐待 / 対応プログラム / 看護職 / 機関連携 / 院内連携 |
Research Abstract |
18年度の予定は、質問紙調査の分析及び保健師対象の聞き取り調査を継続すること、子ども虐待対応プログラム試案を検討し、その基本形を作成することであった。 質問紙調査の分析:産科病棟・NICUにおいて、子ども虐待を危倶するケースの対応について、看護職間の連携状況を明らかにするため、産科病棟・NICUにおける調査を実施し、その分析を行った。産科病棟を有する病棟をもつ500床以上の病院、小児専門病院において、産科病棟あるいはNICUを管理する看護職320人が対象である。病院内に虐待対応の組織や委員会をもっていたのは産科病棟23.1%、NICU26.5%、その他の病棟(産婦人科とNICUの混合病棟)8.0%と少なかった。看護職間の連携が必要かどうかに対する認識では、どの病棟においても連携が「必ず必要」「必要」ととらえたのは90%以上であり、連携の必要性に対する認識は高かった。また、保健センターから病院、病院から外来や保健センターの病院内・外における連携についても「必ず必要」「必要」と認識する者が90%を越えた。実際の連携状況では、保健センターから連絡を受けたことがある者は10%程度と少なかった。産科病棟、NICU、その他の病棟から虐待を危倶するケースの退院時に、保健センターに連絡を入れていたのは50%から70%を越え、保健師に連絡をしていた。反面、退院時に外来に連絡を取っていたのは産科病棟30%と少なく、NICUやその他の病棟では半数であった。以上のことから、看護職間の連携は充分に行われてはいるとは言えない状況であった。実際に連携しづらくしている要因の明確化、情報管理の方法等の検討により、虐待対応のための看護師間の連携システムを確立していくと共に、機関内に活動しやすいように組織化が進められることが必要である。 保健師聞き取り調査の続行:病院に勤務する保健師、保健センターに勤務する保健師に対する看護職間の連携に関する聞き取り調査を実施し、分析した。勤務場所に関わらず、連携の必要性を強く認識していた。しかし、虐待を危倶するケースの捉え方について保健師と看護師・助産師の認識とのずれを感じていた。看護師・助産師では、特に親子を取り巻く背景や生活状況に関する情報の分析が充分ではないことから、連携の難しさを実感していた。同じ看護職であっても、感じ方の違いや情報の捉え方の違いを認識すると共に共通の学習の場を持つ必要性があることが示唆された。 看護職の子ども虐待対応プログラム試案の作成と検討:作成した子ども虐待対応プログラム試案の検討(基本形)を作成した。家庭から病院、病院から家庭へのそれぞれの連携について、院内と院外に分けて情報の取り方と対応の仕方、どのような連絡方法を用いるかについても検討しプログラムに示した。基本形の報告書を作成し、実践に向け、協力先の病院・保健センターへの説明を進めている。
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Research Products
(2 results)