2004 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の人権保障のための看護師の意識と技術に関する研究
Project/Area Number |
16592175
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10171802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若狭 紅子 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (10279705)
濱田 由紀 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (00307654)
江波戸 和子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (60318152)
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Keywords | 精神障害 / 論理 / 看護 / 人権 |
Research Abstract |
本年度は、研究の第一段階として、人権保障の基盤となる精神障害に関わる倫理と精神看護に関わる倫理についての文献検討を行った。医療における倫理については、伝統的な倫理学に基づく倫理原則や道徳的発展過程だけでなく、フェミニズムの観点からの倫理やケアリングの倫理からも説明されている。ケアリングは看護の中心的概念であるが、看護は他者のために全面的に存在するものであることから文脈や関係性に関係し、すなわち状況依存的である。その状況に組み込まれた価値の対立を明らかにすることが重要であることが文献検討から示唆された。看護師の責務は、ICNの倫理綱領において、健康の増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和という4つの基本的責任を果たすことであると定義されているが、これらの責任を果たすことができない状況において倫理的問題が生じると考えられる。精神看護に特有な倫理的な問題の内容、原因、解決策を政策、教育、実践の観点から系統的に明らかにすることが研究の焦点として明確になった。また看護師自身がその状況のなかで倫理的意思決定を行うためには、倫理的感受性と道徳的推論能力を高めることが重要であることについても示唆された。 従って本年度は、精神科看護実践における倫理的対立の内容を文脈も含めて抽出し、看護師が倫理的感受性と道徳的推論能力を高め、実践上の倫理的問題やジレンマを、分析・解決していくための方策(教育内容・教育プログラムなど)を明らかにすることを目的とした質的な研究を行った。研究方法として、精神科臨床経験3年以上を有する看護師22名に対するフォーカス・グループ・インタビューおよびフォローアップインタビュー、1名に対する梱別インタビューを実施し、具体的なエピソードを交えたインタビュー内容を得た。調査・分析は継続中である。
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