2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体性コーティング剤による酵素安定化と活性化
Project/Area Number |
16655073
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊藤 敏幸 国立大学法人鳥取大学, 工学部, 教授 (50193503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 好計 国立大学法人鳥取大学, 工学部, 教授 (40026555)
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Keywords | イオン液体 / 反応加速 / 不斉アシル化反応 / 有機溶媒 / リパーゼ |
Research Abstract |
加水分解酵素リパーゼはその高いエナンチオ選択性と幅広い基質適応性を活かして有機合成に幅広く活用されている.なかでも,有機溶媒中の不斉アシル化反応が有用である.しかし,有機溶媒中では反応速度が遅く,簡単な操作で酵素の活性化が実現できれば,有機合成上の意義は極めて大きい.Pseudomonas cepacia由来の市販酵素PS-Cは幅広い基質に適応できる有機合成に有用な酵素として知られているが,基質によっては反応速度,エナンチオ選択性ともに不十分な場合がある. 申請者はタンパクと親和性を持つクラウンエーテルなどの両親媒性物質の添加でリパーゼの反応を活性化できることを明らかにしているが,イオン液体,1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム塩中でリパーゼが安定に存在できる事に気がついた.イオン性液体と酵素との高い親和性を期待し,各種ポリオキシエチレンアルキル硫酸イオンを対イオンに有するイミダゾリウム塩イオン液体を合成し,リパーゼPS-CのPH7.2リン酸緩衝液にイオン液体を加えて攪拌したのち凍結乾燥してイオン液体固定化リパーゼを調製した.この酵素を触媒に用いて3-ヒドロキシペンタンニトリルをモデル基質として,ジイソプロピルエーテル溶媒中でアシルドナーに酢酸ビニルを用いて不斉アシル化反応を行った結果,イオン液体サポート酵素は市販リパーゼPS-Cに較べて顕著な反応加速が観察され,エナンチオ選択性は未処理酵素と変化しないことがわかった。また,反応加速効果とポリオキシエチレン鎖の長さと反応活性効果には,ある程度相関が認められた.そこで,最も反応加速効果が大きかったイオン液体コーティングしたIL1-supported LipasePSを調製した. この酵素を触媒に用いて様々な二級アルコールについて,ジイソプロピルエーテルエーテル溶媒中で酢酸ビニルをアシルドナーに用いて不斉アシル化反応を調べた結果,反応加速効果は基質に依存し,1000倍から10〜20倍の反応加速が観測され,全くエナンチオ選択性は低下しないことがわかった.
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