2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織からのアディポサイトカイン産生・分泌に及ぼす漢方薬の影響
Project/Area Number |
16659176
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
杉山 清 星薬科大学, 薬学部, 教授 (80145713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 清美 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (60232435)
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Keywords | 脂肪細胞 / 黄連解毒湯 / berberine / PPARγ |
Research Abstract |
現在、生活習慣病による死亡者の増加が世界的に重大な問題となっている。生活習慣病の主な要因の一つとして肥満があるが、この肥満は脂肪細胞数の増加及び脂肪細胞の肥大化により生じる。したがって、脂肪細胞の分化・増殖を抑制することは、生活習慣病の治療や予防に結びつく。本研究では、抗肥満作用を有する薬剤を探索する目的で、現在汎用されている50種の漢方薬を対象に、脂肪前駆細胞である3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化に及ぼす影響を検討した。 漢方薬50種に対してOil Red O染色を指標にスクリーニングを行ったところ、黄連解毒湯に最も強い分化抑制作用が認められた。この黄連解毒湯は、MTT assayを用いて検討したところ、細胞毒性を示さなかった。次に、黄連解毒湯の4種の構成生薬について分化に及ぼす影響を検討した。その結果、黄連解毒湯の分化抑制作用は、黄連と黄柏で説明できることがわかった。そこで、黄連と黄柏に共通の主成分であるberberineの分化に及ぼす影響を検討したところ、黄連と黄柏の分化抑制作用はberberineに起因することが示唆された。さらに、berberineの作用メカニズムについて調べるために、分化に重要な転写因子であるPPARγ、C/EBPα、β及びδの発現に及ぼすberberineの影響をウエスタンブロット法を用いて検討した。その結果、berberineは、分化を抑制する濃度において、PPARγとC/EBPαの発現をほぼ完全に抑制するのに対して、C/EBPβ及びδの発現にはほとんど影響を示さないことが明らかになった。 以上の結果より、黄連解毒湯の分化抑制作用はberberineに起因すること、及びberberineの主たる作用メカニズムはPPARγ及びC/EBPαの発現抑制である可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)