2004 Fiscal Year Annual Research Report
デーモクラティアー関連諸用語の文献学的分析による古代ギリシア初期民主政思想研究
Project/Area Number |
16730067
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
名和 賢美 一橋大学, 大学院・商学研究科, 助手 (40361860)
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Keywords | デモクラシー / 民主主義 / 民主政 / 古代ギリシア / 政治思想 / 公共空間 / 公開 / メソン |
Research Abstract |
本研究は、古代ギリシア民主政揺籃期に当時のギリシア人がデーモクラティアーと後に表現されるようになった事態をいかに理解していたか、という課題の文献学的考察を目的とするものである。本年度は3カ年計画の初年度として、研究計画通り、関連文献・論文の収集に努めるとともに、以下のように研究を遂行した。 第一に、ギリシア語文献テキストデータベース、その専用検索ソフトウェア、およびOA機器を購入し、研究設備の充実を図った。本研究はテキストデータベースCD-ROMを用いて数多くの検索を行い諸用語の用例を網羅的かつ効率的に収集することが第一段階であるため、これらの設備は本研究にとって必要不可欠かつ大いに有用な手段である。 第二に、こうした研究設備を活用し、初期民主政思想に関連する諸用語の1つについて研究を進めた。本年度取り組んだのは、本研究のキーフレーズである「アルケー(支配権)をメソン(真ん中)に置く」という表現中のアルケーという語である。名詞アルケーおよびその動詞形アルコーについて、紀元前8世紀から前5世紀後半までの文献を対象とし、最初に、テキストデータベースからαρχ、αρξ、ηρχ、ηρξそれぞれを含む語全てを検索し、続いて、検索でヒットしたものの中から二語の活用形全てを拾い集め、さらに、各用例をそれぞれの文脈において検討し「支配権」「支配する」という意味を選別し、最後に、収集した用例の意味と性格を考察した。分析した成果については、研究発表および論文執筆の準備を進めている。 第三に、メソンとは地理的地形的にどのようなものであったかを調査するために、1月から2月にかけて半月ほどギリシアでの現地調査を行った。アテネ、シキュオン、エピダウロス、アルゴス、サモス、コス等を遍歴し、各地に現存する古代のアゴラおよび劇場の遺跡を調査しデジタル画像に記録した。
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