2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780230
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大徳 浩照 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助手 (30361314)
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Keywords | Foxol / 糖新生 / 胆汁酸 / 寿命 / Sir2 / アセチル化 / 脱アセチル化 / 転写制御 |
Research Abstract |
1.転写因子Foxo1は、肝臓における糖新生律速酵素の発現調節を介して、血糖値の恒常性維持に寄与することが知られている。これまでFoxo1のインスリン依存的なリン酸化による転写活性の抑制が、Foxo1を介した血糖降下作用の唯一の分子メカニズムであると考えられてきた。しかし今回申請者らは、摂食に応じて分泌される胆汁酸が、核内受容体型転写因子SHPの発現誘導を介して、Foxo1依存的な糖新生律速酵素の発現を抑制することを明らかにした(J.Biol.Chem.,2004)。この知見は、唯一の血糖降下ホルモンとされていたインスリン以外にも、胆汁酸が血糖値の恒常性維持に関与していることを示唆するものである。 2.転写因子Foxo1とNAD依存性ヒストン脱アセチル化酵素Sir2は、ともに長寿を司る遺伝子として知られている。これまで線虫を用いた遺伝学的解析から、両者はインスリンシグナル経路上で協調的に機能することが知られていたが、その分子メカニズムは不明であった。今回の研究で申請者らは、(1)転写コアクチベーターCBPがFoxo1と結合してその転写を活性化すること、一方で(2)CBPはFoxo1をアセチル化し、その転写活性を減弱させることを見出した。さらにこの知見を発展させて、上記の寿命制御の分子メカニズムに対する作業仮説を構築、検証し、(3)Sir2はFoxo1を脱アセチル化すること、(4)Sir2は脱アセチル化酵素活性依存的にFoxo1の標的遺伝子の発現を促進することを明らかにした(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2004)。以上の結果は、長寿遺伝子の双璧をなすFoxolとSir2の機能的な相互作用を世界に先駆けて分子レベルで証明したことのみならず、本申請課題名でもある「Foxo1の多重修飾制御機構」が、寿命調節の一端を担っていること示唆するという点でも大きな意義をもつ。
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Research Products
(2 results)