2017 Fiscal Year Annual Research Report
Toward a New Paradigm of Studies on Religions of Mainland Southeast Asia
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16H01895
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片岡 樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (10513517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 敬裕 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (10586382)
矢野 秀武 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (20422347)
長谷 千代子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20450207)
小林 知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (20452287)
高橋 美和 実践女子大学, 人間社会学部, 教授 (40306478)
津村 文彦 名城大学, 外国語学部, 教授 (40363882)
池田 一人 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (40708202)
村上 忠良 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (50334016)
MAK BILL (麥文彪) 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50747863)
速水 洋子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (60283660)
藏本 龍介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (60735091)
今村 真央 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (60748135)
飯國 有佳子 大東文化大学, 国際関係学部, 講師 (90462209)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 東南アジア / 仏教 / キリスト教 / 民間信仰 / アニミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は東南アジア宗教論における宗教別分業の相対化作業に着手した。具体的には、上座仏教、民間信仰、中国宗教、キリスト教に関する先行研究の問題点をより具体的に明らかにした上で、それを克服する方法について論点を共有する作業を行った。 上記の作業からは、大きく分けて三つの知見が明らかになった。 第一に、東南アジア大陸部の多数派を占める仏教徒社会について、従来は非正統的要素と見なされ仏教研究の対象から除外されてきた要素を含めて考察しようとすると、日本民俗学による日本宗教論の知見と争点が大きく重なってくる。非正統的な宗教要素を、仏教徒の僧俗関係における「世俗」として位置づけることで、全体を一個の仏教システムとして提示し直すことが、日本においても東南アジアにおいても重要であることが明らかになった。 第二に、制度としての仏教やキリスト教の自明性を疑う必要がある一方で、しかしながら仏教やキリスト教を正面からとらえた民族誌の試みがこれまで不十分であったことも明らかになった。仏教徒やキリスト教徒の世界を記述する際に、当該宗教自体を直視することなく、それらを他の社会的次元の問題に還元して理解してきたことの弊害といいかえることもできる。 第三に、以上とは正反対に、当事者の視点に則して宗教現象を理解する上で、宗教という言葉そのものが、あるいは「○○教」「××教」といった既成宗教を切り分ける用語そのものが障害となりうる場合があることが明らかになった。ここからは制度としての宗教からではなく、神や霊そのものの属性から人々の宗教的観念に接近する視座が開けるとともに、アニミズム論の再検討の必要性も生じてくる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は4年計画の2年目である。当初の二年間は、既存の研究における問題点の洗い出しに注力することを重視してきたので、そうした問題を明確に言語化し、さらにそれをいくつかのクラスターに分類することができた。その点からはおおむね順調ということができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の概要にあるように、先行研究の問題をおおきく三点抽出した。実はこの三つの課題はそれぞれが互いに矛盾する論点を含んでいる。そのため今後は、メンバーを複数の小班に分け、それぞれの論点をさらに発展させるべく討論を行っていく予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Book] 詳論文化人類学2018
Author(s)
片岡樹(桑山敬己、綾部真雄編)
Total Pages
381
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
978-4-623-08271-1
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