2016 Fiscal Year Annual Research Report
The New Stage of South Asian Agriculture and Rural Economy: Integrated Study on the Dynamism of Mobility of Land and Labor
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16H01896
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (80272441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 明生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30262215)
加治佐 敬 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (50377131)
辻田 祐子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 海外研究員 (60466068)
岡 通太郎 明治大学, 農学部, 専任講師 (70402823)
和田 一哉 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (70589259)
佐藤 孝宏 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 客員准教授 (80444488)
大野 昭彦 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (20176960)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 土地流動化 / 脱農業化 / 耕作放棄 / 債務奴隷的労働 / パンジャーブ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2016年度)は、6月初旬にキックオフ会議を開催し、問題の共有と今後の研究計画を討議した。その結果、各自の調査担当地域での調査研究を進めると同時に、初年度はパンジャーブ州での調査に力点を置くことにした。パンジャーブ州では、7月前半に1回、2月末~3月上旬に1回、共同で農村調査を実施し、かつ11月には選定した1つの村で全世帯239世帯の世帯調査を現地委託する形で実施した。12月半ばにはその調査データを入手し、データを整理・分析した。 年度末、3月18~19日には、全体研究会を開催し、パンジャーブ州での研究の中間報告を行うとともに、分担者や研究協力者の今年度の調査研究の成果と来年度以降の計画を発表してもらった。 これまでの成果の概要は次の通りである。 1)パンジャーブ州では、予想をはるかに上回る規模で土地が流動化しており、実際に農業経営をしている世帯は村の世帯のごく一部であること。特に、零細土地所有者やときには土地なし世帯が大規模な借地経営をしている例が多いことが判明した。2)グジャラート州では土地の流動化は全般にいまだ限定的であり、それどころか土地なし労働者を借金によって縛り、拘束的に雇用する形態がまだ残っていることが判明した。3)タミルナードゥ州の水掛りの悪い地域では耕作放棄が進んでいること。また水掛りの良い地域では土地流動化が特に売買の形で進展しているが、耕作放棄も目立つことがわかった。4)オディシャー州でも、賃金上昇に伴い、以前よりも借地による土地流動化が目立ち始めていること、などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象地域であるインド各地域やバングラデシュで一気に調査研究を進めることは不可能なので、初年度は重点をパンジャーブ州に置いたが、そこでは1調査村239世帯の現地委託調査を問題なく終えることができた。そしてその収集データの整理・分析により、予想以上の土地流動化と脱農民化が進展している事実を明らかにすることができ、成果は順調にあがっていると評価できる。 今年度以降、パンジャーブでの調査研究をさらに進め、成果をきちんとまとめるとともに、バングラデシュを含むインドの他地域での調査研究を進めていく際の重要な参照軸ができたことは大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、パンジャーブ州の異なる特徴をもつ地域で世帯レベル調査を実施し、中間とりまとめを行う。 他方、他の地域でも調査村を適切に選定したうえで、世帯レベル調査を開始する。1つはタミルナードゥ州で、もう1つはビハール州である。 またオディシャー州ではすでの世帯レベルの調査は終了しており、その分析を始める。他地域と相当に異なる展開を示しているグジャラート州でも、実態をより詳しく明らかにすべく、調査研究を深める。 今年度の終わり頃までに、成果の第1弾として、複数の論文をまとめ、学術雑誌の特集として投稿する準備をする予定である。
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Research Products
(19 results)