2018 Fiscal Year Annual Research Report
Chinese Labour Society in the era of Xi Jingping: The Future of the Institutional Settings of Law, Politics and Economy
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16H01898
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石井 知章 明治大学, 商学部, 専任教授 (90350264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸谷 義治 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (10643281)
山下 昇 九州大学, 法学研究院, 教授 (60352118)
梶谷 懐 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (70340916)
鈴木 賢 明治大学, 法学部, 専任教授 (80226505)
阿古 智子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80388842)
早川 智津子 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90451492)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 労使関係 / 雇用 / 中国社会 / 労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の主な活動は、明治大学現代中国研究所を活動拠点として、さまざまな現代中国労働・社会の諸問題について、研究者やジャーナリスト、法律家、学生や一般市民とともに公開で討議するための国際会議、シンポジウム、講演会、研究会などを開催してきた。おもな活動は以下の通り。
2018年06月24日、香港中文大学の周保松副教授をお招きし、『香港雨傘運動と「一国二制度」の将来』と題する国際シンポジウムを開催し、香港雨傘運動と「一国二制度」の将来について討議した。約150人とともに、活発な議論を繰り広げた。(2019年度中に講演・関連論文として出版予定)2018年9月18日、雇用環境評価国際規格SA8000で知られる国際機関SAIの劉剣氏をお招きし、深セン市総工会の社会的対話プログラムをベースに、「変化しつつある中国の労働運動と労働組合の現状」について報告を受け、約50人の参加者とともに議論を深めた。2018年12月08日、「世界の工場」を支え、たたかってきた労働者たちの聞き取りをまとめた『ストする中国』(彩流社)の邦訳出版記念講演会を開催した。この状況をめぐり、石井知章(研究代表者)が「中国の労働NGOの現状と課題」と題して報告し、参加した約50名の一般市民、学生たちとともに活発な議論を繰り広げた。2019年1月19日、韓国聖公会大学人文学部中国学科教授の張暎碩氏をお招きし「中国社会に拡がりつつある労働問題――広東省の労働政策とその意味について」と題する研究会を開催した。
さらに本年度の最大の研究成果として、石井知章編著『日中の非正規労働の現在』(御茶の水書房、2019年1月)の出版があげられる。本書は、2017年5月に明治大学で開催された「第3回日中雇用・労使関係シンポジウム」の論文集であり、『日本経済新聞』が書評で取り上げたほか、関連学会、ネット上の各種メディアでも高い評価を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、既述の2017年5月、明治大学で開催された「第3回日中雇用・労使関係シンポジウム」の論文集・報告集は最終年度である2019年度に日中間で共同で出版する予定であったが、中国側の諸般の都合により、日本国内での単独の出版となった。しかしながら、本書は日中間で共通して抱えている非正規労働をめぐる諸問題をともに考え、将来に向けた処方箋とその打開策を社会的連帯としてお互いに模索していこうという共通目標を持っていた。それはある意味で、本研究プロジェクトの最終目標そのものであったともいえる。たしかに日中間で労働をめぐる共同研究には、政治的に微妙な問題が少なからず横たわっているが、労働分野での共通課題を土台として進められたわれわれの共同作業は、長期にわたって培われてきた相互理解に基づいて、深く、固い絆によって可能になったことを示唆している。したがって、本書の出版は、本研究プロジェクトで築かれた相互信頼関係の証しそのものであり、本プロジェクトの短期的目的と長期的目標が、すでに基本的には達成されたとすらいえる。国際的共同研究活動としても、中国と韓国から専門家を招聘し、中国の労働関連のテーマをはじめとして数回に及ぶイベントを開催し、研究者、学生、さらに一般市民たちとともに、これまで以上に研究と討議、問題関心を深めることができた。その意味において、2018年度は最も実りの多い一年であったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に予定されている、最大の研究活動は以下の通りである。
《六四30周年シンポジウム》六四・天安門事件を考える、日時:2019年6月1日(土)10:00~17:00(開場9:30)、場所:明治大学 グローバルフロント1階 多目的室
《開催趣旨》中国の現執行体制の基礎を形作った天安門事件を世界史レベルにおいて再検討することは、グローバル化した世界の政治・経済システムにおいてますます存在感を増している中国の今後のあり方を考え、習近平体制の今後のゆくえを見定めるための、必要不可欠な前提作業となっている。この公開シンポジウムでは、天安門事件研究の世界的権威であるA・ネイサン氏(コロンビア大学教授)をお招きして基調講演をいただくとともに、日本国内の天安門事件研究の第一人者である矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授)にコメントしていただく。そのうえで、さらにアメリカからお招きしている天安門事件との関係の深い歴史的証人、王丹氏(華府智庫/対話中国代表)、胡平氏(『北京之春』雑誌社主編)、および張博樹氏(コロンビア大学客員教授)の三人から、その歴史的意義についてそれぞれご報告いただき、広く参加者とともに議論し、今年30周年目を迎えるこの世界史的事件へのさらなる理解を深めていく。
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Research Products
(25 results)