2018 Fiscal Year Annual Research Report
Structural Comprehension of Islamic Mysticism: Investigation into Sufism-Tariqa-Saint Cults Complex
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16H01904
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東長 靖 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (70217462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 雅幸 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (20270530)
二宮 文子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (40571550)
中西 竜也 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40636784)
丸山 大介 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (60749026)
私市 正年 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (80177807)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イスラーム / 神秘主義 / タリーカ / 聖者 / スーフィズム |
Outline of Annual Research Achievements |
事業3年目にあたる本年度も、研究会・現地調査・国際発信・次世代育成を4本の柱として活動を行った。 研究会は、外部講師による実例報告を中心としたものを5回(4月15日、5月15日、12月6日、12月12日、3月13日)、タリーカ概念の確立のためのものを1回(3月17日)実施した。 現地調査に関しては、マッチングファンドも活用しつつ、イスラーム世界とキリスト教世界の聖者信仰のあり方に関する共同調査をスペインで7月に実施した。 国際発信に関しては、①7月18-20日にスペイン・セビリアで開催された第5回中東研究世界大会において、東長靖、私市正年、高橋圭、丸山大介、安田慎、澤井真の6名が口頭発表を行い、それぞれの研究成果の一端を発信した。また、②フランス国立社会科学センター(CNRS)とのジョイントセミナー("Sufism, Sufi Orders and Saints from the Middle East to Asia," 3月2日、パリ)において、研究分担者の二宮文子および京都大学・上智大学・フランス高等研究実習院(EPHE)の大学院生6名が研究発表を行い、研究代表者の東長と上述の二宮およびCNRS教授陣3名(Zarcone,Papas,Luizard)がコメントを付すとともに指導を行った。さらに、③地中海研究機関アジア連合第2回国際シンポジウムを京都大学において開催し(12月23日)、研究代表者らがポスター発表を行った。また、昨年度開催した国際シンポジウムを元にし、25本の論文を収録した④TONAGA Yasushi & FUJII Chiaki (eds.), Islamic & Sufi Studies in Academia: Rethinking Methodologiesを刊行した。 次世代育成に関しては、上述の②において院生3名、③で院生7名に参加の機会を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度行ったスーフィズム概念の精緻化の作業に引き続き、タリーカ概念の構築に力を入れた。 スペインで開催された国際シンポジウム(上記①)において研究メンバーが成果発信を行うとともに、2つの国際シンポジウム(上記②③)をパリと京都で主催した。 昨年度に引き続き、英語による論集(上記④)を刊行したが、これには本研究課題の代表者・分担者計7名が論文を収めている。 昨年同様、若手育成にも十分な力を注ぐことができ、スーフィズム・タリーカ・聖者信仰研究、ひいてはイスラーム研究・現代中東地域研究の次世代を育てることに貢献しえたと自負している。
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Strategy for Future Research Activity |
スーフィズムの三極構造論の精緻化に引き続き、タリーカ概念の確立に向けて歩みだし、方向性が見えてきた。唯一、聖者信仰については、概念化・分析枠組の定立が諸般の事情で遅れ気味であり、引き続き来年度の課題としたい。ただし、スーフィズム(原語ではタサウウフ)やタリーカが、実体概念であるとともに分析概念としても用いられているという複雑さを有しているのに比べると、聖者というのは元々分析概念であり、実際にイスラーム世界で用いられている実体概念と混同する惧れはないことから、概念化そのものは比較的容易であろうと考えている。 この概念化の作業と同時並行で、スーフィズム・タリーカ・聖者信仰という3つの概念の異同についての検討を進めていきたい。 この検討を元にして、複合現象という新しい概念を定立することが本研究の最終目標であり、その達成に向けて全力を尽くしたい。
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