2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Research on Hawks,Hawking Grounds and the Environment of Japanese Islands
Project/Area Number |
16H01946
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福田 千鶴 九州大学, 基幹教育院, 教授 (10260001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 郁夫 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (00275463)
籠橋 俊光 東北大学, 文学研究科, 准教授 (00312520)
東 昇 京都府立大学, 文学部, 准教授 (00416562)
東 幸代 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10315921)
森田 喜久男 淑徳大学, 人文学部, 教授 (10742132)
渡部 浩二 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (20373475)
伊藤 昭弘 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 准教授 (20423494)
堀田 幸義 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20436182)
江藤 彰彦 久留米大学, 経済学部, 教授 (30140635)
兼平 賢治 東海大学, 文学部, 講師 (30626742)
安田 章人 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40570370)
水野 裕史 筑波大学, 芸術系, 助教 (50617024)
武井 弘一 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (60533198)
相馬 拓也 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (60779114)
中澤 克昭 上智大学, 文学部, 教授 (70332020)
岩淵 令治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90300681)
藤實 久美子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (90337907)
久井 貴世 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (00779275)
大坪 舞 佐世保工業高等専門学校, 一般科目, 講師 (00781098)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 鷹 / 鷹場(猟場・禁漁区) / 環境 / 鷹狩 / 鷹書 / 鶴 / 鴨堀 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究計画の3年目にあたり、前年同様、共同研究におけるフィールドワークを重視した。まず、9月7日(金)から9月9月(日)にかけて韓国調査を実施した。参加者は8名。韓国大田市において、大田市無形文化財に登録されている鷹狩技術保持者である鷹師のパク・ヨンスン氏から聞き取り調査をおこなった。日本と韓国の鷹狩文化の違い、朝鮮オオタカの特徴、鳥屋の状況を見聞することができた。また、南山ゴル韓屋村ではパク氏の弟子であるファン・ティン氏と交流し、鷹狩文化研究の発展に向けて東アジア全体で協力する必要を確認した。調査報告はニューズレター5号(HP公開)に掲載した。 次に宮内庁鴨場の見学を申請したところ、幸運にも参加する機会をえた。数年応募しても難しい倍率だということで、貴重なフィールドワークとなった。6月29日に埼玉鴨場(1名)、9月25日に千葉新浜鴨場を見学した(10名)。 11月23日(金)~25日(日)は北海道阿寒郡鶴居村にて丹頂ツルのフィールドワーク、および第4回研究会を開催した。参加者17名。研究報告4本、韓国調査報告、次年度以降の研究会活動のうちあわせなどを行った。年度末には、研究代表者が、Boston で開催中のEagle Maniaという日本の鷲・鷹をテーマとした展示会を観覧した。 鷹・鷹場・環境研究文献DBは昨年度より70タイトルを増やした。増加データを研究会メンバーに配布した。文献DBはほぼ完成したが、次年度も引き続きデータを補う必要がある。 成果公表は、HPを定期的に更新し、文献情報のデータを公開・更新し、イベント情報を提供するなど、広く社会への情報発信を続けた。年度末には『鷹・鷹場・環境研究』3号を公刊し、論文6本、史料紹介3本、書評3本という大変充実した内容となった。NEWS LETTER『鷹・鷹場・環境NEWS』4~6号を発行し、HP上にて公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
重点的に実施予定にしていたフィールドワークで大きな成果をあげることができた。前年度の鹿児島県出水市内での鶴(マナヅル・ナベヅル・クロヅル等)観察の成果のうえに、丹頂ツル観察をしたことにより、いかに丹頂ツルが巨大な鳥であり、鷹狩で丹頂ツルを獲ることが不可能であるかを科研メンバーで共通理解にすることができた。こうした生態学的な調査が蓄積されたことで、より大きな成果が得られたと評価できる。 加えて、予定していなかったが、宮内庁鴨場見学という幸運にも恵まれた。特に鴨場見学で得た知見が、当日は不参加だった来見田博基氏の第4回研究会での報告と密接にかかわるものであるとわかり、共同研究の利点が大いに発揮される結果が得られた。 韓国調査では、韓国鷹匠の方々との交流が得られたことで、今後の国際シンポジウム実施に向けての足掛かりを作ることができた。また、米国出張により米国研究者との交流もおこない、国際的に本科研の活動を発信することができた。『鷹・鷹場・環境研究』3号は150頁に及ぶ充実した内容となった。そのうち英文論文2本を載せることができ、国際的な研究活動にも成果を残すことができた。 研究分担者の個別研究も第4回研究会において報告4本をおこなった。そのうち、『鷹・鷹場・環境研究』3号に3本の研究成果が報告され、残る1報告は次年度の『鷹・鷹場・環境研究』4号に載せる予定である。前年度の報告者で2号未掲載の論文も3号に載せることができ、報告→論文化というサイクルで、着実に研究成果の発信ができている。またニューズレターも、前年と同様に年3回6号まで発行し、HP上でも閲覧できるように公開した。 このように着実に国内外に広く成果を示すことができており、当初の計画以上に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の研究活動は、引き続きフィールドワークを重視する。平成29年度の出水市、平成30年度の鶴居村で種々の鶴を生態学的に調査できたフィールドワークの意義は、科研メンバーが共通して認識するところである。そこで、平成31年度は生物学的に鶴ではないが、江戸時代に「目赤ツル」と呼ばれたトキの生態観察を実施したい。トキが換羽を終えつつある8月下旬に実施するとともに、第6回研究会を開催する。報告者は東日本班の予定である。研究計画では国際調査は今年度が最後となるため、第2次モンゴル調査隊を派遣したい。前回の反省としては、訪問した9月が温暖であり、本格的な狩猟シーズンにはいっていなかった。そこで、狩猟が確実な冬季に4名程度で実施する予定である。なお、職場環境の事情等から冬季に調査隊が派遣できないことも想定されるため、その場合には調査時期をずらすなど柔軟に対応する。 なお、研究代表者がBoston調査をした際に、ハーバード大学の司書から鷹書の本格調査の依頼があった。そこで、3月に開催予定のAssociation for Asian Studies in Boston でワークショップを設け、研究発表にあわせて、専門家の藤實久美子を中心に調査隊を派遣したい。 また、平成32年度が最終年度となるため、一般市民向けのシンポジウムの計画準備、国際シンポジウムの計画準備を平成31年度中に段階的に進めるためのうちあわせを行う。 平成30年度の個人研究では、引き続き文献調査および論文執筆を進める。 なお、通常の研究成果の公開としては、引き続きNEWS LETTER を発行し、HPを定期的に更新するなどして、タイムリーな情報研究に努める。年度末には『鷹・鷹場・環境研究』第4号を刊行し、九州大学機関リポジトリに登録する。研究会メンバーの所属する博物館における展示活動や講演会活動にも協力する。
|