2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cultural Anthropological Study of "Gender-based Violence Complex"
Project/Area Number |
16H01969
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 雅一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (00188335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 薫 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究グループ長代理 (00466062)
東 聖子 近畿大学, 国際学部, 講師 (00735102)
和崎 聖日 中部大学, 人文学部, 講師 (10648794)
赤堀 雅幸 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (20270530)
小牧 幸代 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (20303901)
藤倉 康子 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD) (20773782)
辻上 奈美江 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任准教授 (30584031)
内藤 順子 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50567295)
嶺崎 寛子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (50632775)
岩谷 彩子 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90469205)
齋藤 剛 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90508912)
佐々木 祐 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90528960)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化人類学 / ジェンダー / 暴力 / 女性への暴力 / 名誉 / グローバル化 / ディアスポラ社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、田中雅一がインド西部、赤堀雅幸がインドとイタリア、東聖子がカナダのスィク教徒、岩谷彩子はルーマニア、小牧幸子はパキスタンと国内のパキスタン・コミュニティ、佐々木佑はメキシコ、内藤順子はチリで、藤倉康子がネパールからインド・ムンバイへの売春に関わる移民について、村上薫がトルコ、和崎聖日はウズベキスタンで調査を実施した。研究会は、京都と東京で開催した。主要な成果として、日本文化人類学会の『文化人類学』誌に田中の客員編集による「ムスリム社会における名誉に基づく暴力」と題する特集を企画し、これが掲載された。田中と嶺崎が序章を共同執筆、個別論文として、村上薫「名誉解釈の多様化と暴力―イスタンブルの移住者社会の日常生活をめぐって」、嶺崎寛子「名誉に基づく暴力を回避する―2000年代のエジプトを事例として」、赤堀雅幸「暴力のイディオムとしての名誉―エジプト西部砂漠ベドウィンの血讐と名誉殺人を事例に」研究ノートとして辻上奈美江の「「アフガン・ガール」をめぐる眼差しの暴力―主体・表象・交差性」が採択、掲載された。これらは、イスラーム社会における女性への暴力、特に名誉に関わる暴力が地域だけでなく事例においても、各々非常に複雑な背景を有していて、単純に家父長的権力の行使として解釈するだけでは不十分であることを明らかにした点で画期的な成果である。本特集は、長期の調査を主たる方法論とする文化人類学的フィールドワークの有効性を示していると同時に、共同研究に基づく比較の意義を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の地域で調査が困難であったり、ライフイベントで予定の調査を取りやめた場合もあったが、概ね調査は問題なく実施された。また、最初の成果となる学会誌特集「ムスリム社会における名誉に基づく暴力」が採択、掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトの特徴は、南アジアや中東など特定の地域にこだわることなく、より広範囲(南アジアから西アジア、地中海地域から南米に至る地域)を扱っていることと、上記の地域出身者が欧米に移民して形成したディアスポラ社会を対象にしていることである。このため比較が困難とも言えるが、女性への暴力とその背後にある男性中心の考えと体制が主たる共通テーマであり、これをもって各地域の事例をより広範囲の視点から論じようとしている。ただし、ヨーロッパのディアスポラ社会における女性への暴力については、さらなる資料の収集と議論が必要と考える。
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Research Products
(15 results)