2017 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀型消費者政策の基礎理論を構築するための実証的・理論的研究
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16H01989
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
河上 正二 青山学院大学, 法務研究科, 教授 (70152923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 敦志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30152250)
沖野 眞已 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80194471)
加毛 明 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (70361459)
神作 裕之 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70186162)
宍戸 常寿 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20292815)
白石 忠志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30196604)
菱田 雄郷 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90292812)
山本 隆司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70210573)
櫻井 博子 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00620212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 消費者法 / 民法 / 個人情報保護 / 特定商取引法 / 地方消費者行政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、消費者問題ごと、特定の法制度ごとの問題指向型の研究が中心であった消費者法研究に対し、個別研究と公法と私法の協働・連携を意識したセグメントによる議論を行うことにより、①従来型の問題志向型研究の再整理、②消費者問題に共通する課題要素の抽出を行い、最終的に③消費者法制に横串を刺すような、一般的な共通課題・競合課題に対する理論的基盤の導出を目的とする。 当年度においては、昨年度に引き続き、問題指向によって整理された8つのセグメントを中心に、国内の様々な消費者問題に対する法制度や法運用等の情報を収集し、民法や行政法といった関連する既存の関連法理との関係等も含め、分析・検討を行った。その成果は、研究代表者・研究分担者各自が、書籍・雑誌論文の公表やシンポジウムでの報告によって発表している。特筆すべき成果として、代表者である河上は、3期6年にわたって内閣府消費者委員会委員長を務め、その間、日々生起する消費者問題や消費者事故、それに対する消費者政策等、ひろく消費者法に関連する検討を、毎月「霞が関インフォ/消費者委員会」として、毎月ジュリストに公表してきた。その集大成として、現在の消費者法・消費者法制の方向性を示す、『消費者委員会の挑戦(信山社、2017年8月)』を公刊した。 また、当年度は、前年度までの調査・検討を踏まえて、消費者法制の共通理論の基礎となる要素を検討する作業を行った。それにより、①合理的平均的消費者から、多様な消費者、具体的脆弱な消費者の保護、②消費者法の規制の多様性と役割、③情報化の中の消費者、④国際化に伴う消費者像の変化、⑤消費者教育の展開と限界、といった視座が得られ、これを手掛かりとした消費者法の未来像を導きつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から継続して、国内外の消費者法制および消費者問題とその法的対応に関連する情報の収集と分析を進めつつ、包括的理論の確立に向けた、消費者法制の共通要素を検討するというのが、当年度の計画であった。研究代表者・研究分担者が、この計画に従って検討を行い、書籍の刊行や、個別の雑誌論文等の公表、各種学会・研究会・シンポジウムでの成果発表が行われており、おおむね研究計画を遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、本研究の最終取りまとめとして、本研究の目的であった、消費者法制において、汎用性のある理論的基盤を作出する作業を行う。 また、当年度までに行った具体的な検討作業のなかでも、目標を達成に至らなかった部分や、新たに検討を要した消費者問題等に関しては、個々の検討を継続し、その成果を『消費者法研究』を中心に公表する。また、理論的検討と実証的研究を踏まえて、総体的・体系的に基礎づける、有用性の高い理論的基盤とするために、研究分担者に加え、ひろく実務家・研究者が議論を行う場として、代表者が所属する青山学院大学で「消費者法研究会」を立ち上げることを予定している。 最終的には、本研究課題全体の成果として、研究代表者全員が執筆する形で論文集を刊行することを予定している。
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Research Products
(34 results)