2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Study on Funding and Governance of Univerities
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16H02067
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
丸山 文裕 広島大学, 高等教育研究開発センター, 特任教授 (60144888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
両角 亜希子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (50376589)
福留 東土 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (70401643)
小林 雅之 東京大学, 大学総合教育研究センター, 教授 (90162023)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ファンディング / 大学経営管理 / 基盤的経費 / 競争的資金 / 教育無償化 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学へのファンディングと大学経営管理改革との関係を検討するのが本研究の目的である。平成29年度は、一つには、日本において大学へのファンディングの方法の変化が、大学での研究生産性に及ぼす影響を考察した。大学へのファンディングは、国立大学への運営費交付金など基盤的経費の削減と、他方科学研究費補助金などの競争的資金の増加にシフトしているが、それが研究の生産性にマイナスの効果を持つことを、専門分野の異なる全国の大学の研究者にアンケート調査することによって得られたデータにより証明した。 また平成29年秋の参議院選挙まえに突如争点となった自民党や有識者会議「人生100年時代構想会議」等が主張する教育無償化について、それが高等教育機関の経営管理に対する影響も含め、検討した。教育無償化案は、大学進学者や大学経営にポジティブな影響をもたらすものと推測されるが、一方で政府財政の立て直しや、大学に配分される研究費にとって、必ずしもポジティブな効果をもたらさないことを論じた。消費税増税分の一部を無償化に回すことで、国際公約となっている公的債務削減が遅れ、政府財政の健全化に支障をきたすこと。また文教予算のうち高等教育無償化を推進するため、日本学生支援機構への奨学金事業費が増加するものの、その分国立大学運営費交付金および私立大学への経常費補助金が削減される可能性があること、の2つが危惧される。 以上2つの研究成果は、論文として平成29年度に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学へのファンディングの方法の変化に伴う大学経営管理の在り方を検討する本研究を遂行するため、理論研究、データを収集し分析する実証研究、海外の動向を調査する国際比較研究の3つの方法を用いる。 理論研究は、教育社会学、教育財政学、教育経済学、高等教育学などを踏まえて順調に行っている。また全国の大学教員を対象にしたアンケート調査も行い、そのデータ分析も進めた。さらに中国、アメリカ、オーストラリア等の大学経営管理改革の最新の動向もおさえた。これまでの研究成果は、論文などにして公表している。 以上のことから本研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はこれまでのところ、上記のように順調に進んでおり、今後も当初の予定通り研究を遂行する。平成30年度は、本研究の最終年度であり、これまでの研究蓄積を総括し、まとめる作業を行う。研究成果は、論文、著作、学会発表などで公表する。
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Research Products
(4 results)