2017 Fiscal Year Annual Research Report
環境制御型高速3次元力顕微鏡による界面分子吸着構造の分子スケール解析
Project/Area Number |
16H02111
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福間 剛士 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (90452094)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 原子間力顕微鏡 / 3次元走査型力顕微鏡 / 水和構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)の制御器を構成するFPGA回路に、3次元走査型力顕微鏡(3D-SFM)機能を追加した。それにより、カルサイト/水界面に形成された3次元水和構造を、5 s/volumeで原子分解能観察することに成功した。これは、従来の約20倍の速度であり、世界最高速度を達成できた。一方で、3D-SFMに環境制御機能を付加するために、AFMヘッドの大幅な設計変更を行い、多数の機械部品を設計・製作した。今後、これらを組み立て、性能試験を実施する。 上記の装置開発成果以外にも、応用や原理に関する様々な成果が得られている。カルサイトの溶解過程を1 s/frameで原子分解能観察し、その結果をシミュレーションで解析することで、原子ステップ端近傍に形成されるCa(OH)2単層膜の存在を発見した(Nano Lett. 17 (2017) 4083)。また、フルオライト/水界面での3D-SFM計測結果をシミュレーション結果と比較し、3D-SFMにより吸着イオンによる水和構造の変化を捉えられることを初めて実証した(Nanotechnology 90 (2017) 245701)。さらに、カルサイト表面の原子欠陥上で3次元水和構造観察を実施し、その結果をシミュレーション結果と比較することで、原子欠陥の3D-SFM計測に与える影響を明らかにした(Phys. Rev. Lett. 120 (2017) 116101)。これらの基礎的な知見と技術は、現在取り組んでいる環境制御型高速3D-SFMの開発だけでなく、それを将来様々な計測に応用する際にも大いに役立つ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたFM-AFM技術と3D-SFM技術との融合を達成し、その性能を実証する実験結果が得られている。また、環境制御機能についてもパーツレベルでの設計を終え、性能試験へと移りつつある。その他、高速FM-AFMおよび3D-SFMに関する様々な研究成果が得られている。以上から、計画は概ね順調に進捗していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
装置開発については、すでにパーツレベルでの設計・製作は終了しているので、その組み立てと性能実証試験を中心に実施する。特に、高速FM-AFMで得られているカルサイトの溶解過程に関する知見を活かして、ステップ端における高速3次元観察を実現することで、そのさらなる理解の進展に努める。
|
Research Products
(19 results)