2017 Fiscal Year Annual Research Report
Superwind-driven co-evolution between galaxies and intergalactic medium
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16H02166
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
谷口 義明 放送大学, 教養学部, 教授 (40192637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 銀河形成 / 銀河進化 / 銀河間物質 / 活動銀河中心核 / 超大質量ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
申請書の研究計画にあるように、銀河と銀河間空間の共進化の統一モデル構築の礎を造ることを目的として研究を進めた。[1] ALMAによるDLA (Damped Lyman alpha aAbsorption system) のスーパーウインド起源説の観測的立証:DLAがスーパーウインド起源であれば、DLAの周辺に大規模な低温ガスから成るシェル状構造が存在するはずである。これを確認するためにLyman alpha emission が付随しているz=3のDLAに対してALMAによる[CII]158μm輝線マッピングの観測計画を ALMA Cycle 5 で提案し、無事採択された;プロジェクト名= Central Inversion Lyman alpha Emission in a DLA。 [2] すばる望遠鏡による銀河合体に誘起された活動銀河中心核の観測的研究:近傍宇宙の代表的な活動銀河中心核を有する NGC 1068 の中心核活動の起源を探るために、すばる望遠鏡の超広視野カメラ Hype Suprime-Camによる可視光撮像観測を行った。その結果、孤立銀河であると考えられてきた NGC1068 の外縁部に衛星銀河の合体によって形成されたと考えられる潮汐痕を発見するに至った。NGC1068の中心領域には擾乱を受けた非対称な構造があることがわかっており、合体してきた衛星銀河の中心核(超巨大ブラックホール)がNGC1068本体の超大質量ブラックホールへガス供給を果たす役割をしていることを強くし刺さる結果となった。銀河中心核の活動性は、スーパーウインドとは異なるモードでのアウトフローを生成するので、銀河と銀河間空間の共進化を調べる上で、重要な研究課題の一つになっていることを明記しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べたように、NGC1068の中心核活動の起源を探るために、すばる望遠鏡の超広視野カメラ Hype Suprime-Camによる可視光撮像観測を行い、孤立銀河であると考えられてきた NGC1068 の外縁部に衛星銀河の合体によって形成されたと考えられる潮汐痕を発見することに成功した。NGC1068の中心領域には擾乱を受けた非対称な構造があることがわかっており、合体してきた衛星銀河の中心核(超巨大ブラックホール)がNGC1068本体の超大質量ブラックホールへガス供給を果たす役割をしていることを強くし刺さる結果となった。全ての銀河中心核の活動性は銀河中心核(超巨大ブラックホール)を有する銀河の合体によって誘起されるという統一モデルをすでに提案してきたが (Taniguchi 1999, ApJ, 524, 65)、この統一モデルを補強することができた(Tanaka, Yagi, and Taniguchi, 2017, PASJ, 69, 90、なおこの成果はすばる望遠鏡からプレスリリースされ、新聞等でニュースとして取り上げられた)。銀河中心核の活動性は、スーパーウインドとは異なるモードでのアウトフローを生成するので、銀河と銀河間空間の共進化を調べる上で、重要な研究課題の一つになっていることを明記しておく。 ALMAサイクル5で赤方偏移z=3のDLAに関する観測提案が1件採択された(DLAとスーパーウインドの関係を探ることを目的とした研究である)。これは本研究課題に直接関係する研究計画であり、研究が順調に進んでいる証左である。また、ALMAからインタビューを受け、”視力6000で見る宇宙:130億光年以上先の宇宙最初の銀河を探す”という記事がALMAのホームページで公開されたことも情報公開の一環として有効に機能したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今までにALMAで採択されたDLA関係の観測の進捗に合わせ、データ解析、成果公表を続けていく。ALMAによる遠方宇宙の観測は個別の銀河に対して行われているが、本研究計画のように銀河間空間にホロがった成分の研究はまだ少ない。そのため、本研究の推進はALMAの新しい地平を切り開いてくれると考えている。 一方、すばる望遠鏡による観測はクエーサー吸収線系である赤方偏移z=3のDLAの観測的研究を続行させる。また、活動銀河中心核のアウトフロート銀河間空間の関係を探るために、近傍宇宙にある活動銀河中心核を有するセイファート銀河の撮像観測を行っていく。S18B期への新たな観測提案は済ませているが、それ以外にもすばる望遠鏡のハイパースプリームカムのデータアーカイブを用いた研究も着手した。この研究はすばる望遠鏡の類稀なるパワーがなければ遂行できない研究計画であり、世界に先駆けて推進していくことができるように配慮する。
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Research Products
(31 results)