2018 Fiscal Year Annual Research Report
Superwind-driven co-evolution between galaxies and intergalactic medium
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16H02166
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
谷口 義明 放送大学, 教養学部, 教授 (40192637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 銀河形成 / 銀河進化 / 銀河間物質 / 活動銀河中心核 / 超大質量ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、以下の二つのメインテーマについて観測的研究を推進してきた。 [1] ALMAによるDLAのスーパーウインド起源説の観測的立証:DLAがスーパーウインド起源であれば、DLAの周辺に大規模な低温ガスから成るシェル状構造が存在するはずである。これを確認するために(1)LABが付随しているDLA、及び(2)中性水素原子ガスの多い [log N(HI) (/cm2) >21]DLA(赤方偏移 z ~ 3 - 5)に対してALMAによる[CII]158μm輝線マッピングを行う。[2] すばる望遠鏡によるDLAのスーパーウインド起源説の観測的立証:(1)ハイパー・スプリーム・カムの Subaru Strategic Program (SSP)で取得される狭帯域フィルター撮像で発見されるLABとDLAの cross correlation analysis を行い、DLAとLABの物理的関係を明らかにする。(2) DLAに付随するLABの直接検証と宇宙大規模構造フィラメントの探査を行う。 本年度は、ALMA Cycle 5 で採択された観測提案”Central-Inversion Ly alpha Emission in a DLA"の観測が行われ、データがデリバーされたので、そのデータを解析中である。今回の観測では、[CII]輝線は検出できなかったものの、観測したクエーサーの近傍に今まで知られていなかった2個のサブミリ波銀河を検出した。赤方偏移z=3の初期宇宙における密度超過領域の可能性があり、今後の追求観測を立案しているところである。さらに、すばるディープ・フィールドにおける z ~ 5 - 7 のライマンアルファ輝線の空間的広がりを検出する試みを行い、銀河形成期の星生成活動、およびスーパーウインドによる銀河間空間の電離に関する研究を推進してきた。これについては国際研究会(国際天文学連合シンポジウム)で成果公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALMA電波干渉計とすばる望遠鏡の観測は順調に進んでいる。ALMAの観測では[CII]輝線は検出できなかったが、2個のサブミリ波銀河の発見をもたらし、赤方偏移z=3の初期宇宙における密度超過領域を検出した可能性が高く、今後の新たな研究展開に繋がった。すばる望遠鏡による研究はデータ解析の途中であるが、一定の成果が期待できる。 また、これらの観測的研究のほかに以下の二つの研究をスタートさせた。(1) 近傍の活動銀河中心核の代表格であるセイファート銀河のディープな撮像観測をすばる望遠鏡のハイパー・スプリーム・カムを用いて行う研究が採択され、観測データが取得されつつある。従来の撮像データでは検出できなかったフェイントな構造が検出され、過去の衛星銀河の合体の兆候が確認されつつある。銀河中心核の活動生の起源を探る貴重なデータとなることが期待される。(2) セイファート銀河 NGC1068 については国際的な電波干渉計システム VLBIのアーカイブ・データを解析し、中心領域にある新たな高密度分子ガス雲を水メーザー輝線で検出することに成功した。この領域には超大質量ブラックホール(SMBH)が存在する可能性が極めて高く、従来検出されていたSMBHと合わせて2個のSMBHが存在する可能性が出てきた。超大質量ブラックホールを持つ衛星銀河の合体が、このようなSMBHのバイナリーを形成することは予測されており、銀河中心核の活動生の起源を探る貴重な成果になることが期待される。活動銀河中心核は強烈な電磁波やジェットを放出することが知られており、銀河と銀河間空間の相互作用を担う重要な立役者の一つである。そのため、これらの新たな研究は本研究計画を強固に補強するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは以下の二つのメインテーマについて、観測的研究を今後も継続して推進していく。 [1] ALMAによるDLAのスーパーウインド起源説の観測的立証:DLAがスーパーウインド起源であれば、DLAの周辺に大規模な低温ガスから成るシェル状構造が存在するはずである。これを確認するために(1)LABが付随しているDLA、及び(2)中性水素原子ガスの多い [log N(HI) (/cm2) >21]DLA(赤方偏移 z ~ 3 - 5)に対してALMAによる[CII]158μm輝線マッピングを行う。[2] すばる望遠鏡によるDLAのスーパーウインド起源説の観測的立証:(1)ハイパー・スプリーム・カムの Subaru Strategic Program (SSP)で取得される狭帯域フィルター撮像で発見されるLABとDLAの cross correlation analysis を行い、DLAとLABの物理的関係を明らかにする。(2) DLAに付随するLABの直接検証と宇宙大規模構造フィラメントの探査を行う。 さらに新たにスタートさせた、以下の研究も推進していく。(1) すばる望遠鏡のハイパー・スプリーム・カムを用いた、活動銀河中心核の代表格であるセイファート銀河のディープな撮像観測を行い、セイファート銀河の衛星銀河の合体の証拠を探し、銀河中心核の活動性の起源を探る。(2) セイファート銀河 NGC1068 については国際的な電波干渉計システム VLBIのアーカイブ・データを解析し、中心領域にある新たな高密度分子ガス雲を水メーザー輝線で検出することに成功した。さらなるデータ解析を行い、超大質量ブラックホール(SMBH)が存在を確認する。確認に成功すれば、従来検出されていたSMBHと合わせて2個のSMBHが存在することを実証できる。この研究も銀河中心核の活動性の起源を探る上で、極めて重要なマイル・ストーンになることが期待される。
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Research Products
(20 results)