2017 Fiscal Year Annual Research Report
新型光検出器で築く次世代南極ニュートリノ望遠鏡による深宇宙高エネルギー現象の解明
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16H02174
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石原 安野 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40568929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニュートリノ / マルチメッセンジャー / 最高エネルギー宇宙線 / 光検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
IceCube実験による最新データ9年分を用いて、世界最高感度での超高エネルギーニュートリノ検出解析を行い、特に本年の研究からは、LLH関数に適切な宇宙ニュートリノ流量をnuisanceパラメータとして加えることでモデル独立な超高エネルギー流量に対しこれまで以上の制限をつけることに成功した。本年度9月には、当グループが開発した超高エネルギーニュートリノオンラインアラートシステムから発せられたニュートリノ信号情報に対し、電波望遠鏡から超高エネルギーガンマ線望遠鏡までが追解析を行い、ニュートリノ発生対応天体候補を発見した。これはマルチメッセンジャー・多波長観測によるトランジエント宇宙ニュートリノ起源の解明にむけた大きな前進である。さらに、6.0PeVものエネルギーを検出器近傍に放出するGlashow共鳴に相当すると見積もられる事象を発見することに成功した。この解析・事象については翌年度に論文として発表する予定である。 また、次世代ニュートリノ望遠鏡IceCube-Gen2に向けた新型光検出器D-Eggの量産を視野に入れたプロトタイプ機rev3の製作を行った。年度前半では、Rev2プロトタイプ機の特性の精査を行った。ここから、光検出器と耐圧ガラス球の相対位置に大幅なずれが生じている時に、-40~-50℃まで凍結するときにガラスの形状変化と光学エラストマーの形状変化との間に想定以上に差ができ、これがガラスとエラストマーの接部分に薄い空気層を作る状況が見られた。これについての改善を行った。また、γスペクトロメータ等で、ガラス材料の精査も行い、ノイズの原因となるK40成分を大幅に減少させることに成功した。D-Eggの4πからの光による感度測定を、実際のプロトタイプ機を用い、検証した。Rev1の読み出し回路ボードの製作を行った。これについては、現在も正常動作に向けた開発を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IceCube実験データの解析については、予定していた解析を先行して行う状況にあり、計画以上に進行しているといえる。 本研究計画では、本年度2台のD-Egg試作機を制作し、その検証を行う予定であった。現在それ以上の試作機を制作し、モジュールごとの精度のふらつきの測定を行い、大規模製作に向けた生産体制の準備は順調に進行している。また長期間性能試験も開始した。読み出し回路は開発途中である。これらを踏まえ、進行が計画を超えているものと多少の遅れがみられる部分があるが、総じて順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、引き続き大規模製作に向けた生産体制を整えていくが、今後は、特に回路の開発により重点を置き、早急に光検出器モジュールとしてのD-Eggの性能評価を行っていく。また、光検出器の周りの南極氷河中の光伝搬特性の理解が、今後IceCube実験からのデータをより詳細に解析する上で必要であることが、いくつかの解析から見えており、この系統誤差の大幅減少を目指し、異なる較正用光源をD-Eggに組み入れ、最高精度での較正を行うためのデザイン開発を進める。
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Research Products
(7 results)