2018 Fiscal Year Annual Research Report
QED効果観測によるマグネターの強磁場中性子星仮説の検証
Project/Area Number |
16H02198
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉川 徹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (20333312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 恒史 広島大学, 宇宙科学センター, 准教授 (20403579)
榎戸 輝揚 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (20748123)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / X線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
NASAマーシャル宇宙飛行センター (米国) が主導するX線偏光観測衛星 IXPE (Imaging X-ray Polarimeter Explorer) に搭載されるX線偏光計のフライト品製作を、取りまとめ機関であるINFN/Pisa (イタリア) とともに行った。組み立ては INFN/Pisa のクリーンルームで実施し、日本からも要所ごとに立ち合い参加し、問題点があればその場で解決策を提示した。日本から提供したガス電子増幅フォイル (GEM) について、X線偏光計に組み込んだのち、電子増幅度のセンサー面内での場所依存性と、時間変動の測定を行い、天体観測する上でどのような影響があるかの評価を行った。この結果を元に、このあとIAPS/Rome (イタリア) で行われる、X線偏光計の精密較正試験の内容や手順について議論し、プロジェクトの要求仕様を満たすために必要な試験方針について確認した。 第一回IXPEコラボレーション会議をイタリアCNR (National Research Council) で開催し、ハードウェアを提供している米国、イタリア、日本の研究者間で、現状の確認と今後の進め方を議論した。また、チーム全体で打上げ1年目の観測プランを議論し、最初の観測天体リストを作成した。マグネターワーキンググループに対しては、現時点までの較正試験から想定されるIXPE衛星の性能を仮定した観測シミュレーションを行い、結果を提供した。 打上げ1ヶ月後に事故で失われたHitomi衛星が、短時間観測したカニ星雲に対して、搭載されていた軟ガンマ線検出器を用い、60-160 keV 帯域において有意な偏光を検出した。この結果はHitomiチーム論文としてまとめ出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部設計変更に伴う追加検査等があったが、衛星開発はほぼ予定通りに進んでいる。日本から提供しているハードウェアも無事に搭載を完了し、X線偏光計として正しく動作することが確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
IXPE衛星はX線偏光計のフライト品製作と検出器較正が完了し、衛星への組み込み作業が始まる。今後は衛星に搭載されるX線集光鏡と組み合わせたシステム全体の較正に参加する。IXPE衛星による観測天体絞り込みに向けた議論が始まるので、より現実的な性能を用いたマグネターの観測シミュレーションを実施し、データ解析への参加も継続することで、打上げ直後からの活動を有利に進められるように工夫する。
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Research Products
(38 results)