2017 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of wet laser doping technology
Project/Area Number |
16H02342
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅野 種正 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (50126306)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炭化シリコン / ドーピング / レーザードーピング / 液中レーザー照射 / レーザー加工 / パワーデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者らは,リン酸中で炭化シリコン(SiC)半導体にレーザ光を照射するとリンがSiC内部にドーピングされn型となり良好なpn接合を形成できることを見出したのを契機に研究を進め,液体窒素やアンモニア水中で照射すると窒素を,塩化アルミニウム水溶液中で照射するとアルミニウムをドーピングでき,n型,p型層を作れることを示ししてきた.本研究はこれを発展させ,(1)ドーピングの密度と深さを制御する技術,および(2)サブミクロンの大きさで選択した領域へドーピングする技術を開発し,(3)素子製造への適用性を実証し,SiC素子製造へ応用できる新しいドーピング技術を創生することを目的としている.研究は,フッ化クリプトン(KrF)エキシマレーザーを用いて進めた.n型ドーピングについては,リン酸中,アンモニア水中の照射でそれぞれPおよびNを,またSiCの表面に成膜した窒化シリコン膜への両者によってNをある程度深くドーピングでき,良好なpn接合ダイオードを形成できることがわかった. 一方,p型については,塩化アルミニウム中の照射,あるいは,表面に成膜したAlへの照射でAlをドーピングできることがわかった.Al薄膜への照射実験における発光解析を行った結果,照射した表面の近傍にAlの高密度プラズマが生成されることがわかった.このプラズマが表面を加熱して不純物元素を表面から内部へ拡散させているという機構を推定した.溶液中では発光が弱いことから,プラズマの消滅が速く,そのため拡散深さが小さいと推察される.pn接合ダイオードを試作し,カーブトレーサで評価した結果,耐圧が実用化水準の6割程度に留まっている.改善にはドーピング深さの拡大が必要であると判断した.そこで,レーザーパルス幅を拡張する光学機構を新たに構築して長パルス化した.それにより複数回照射が可能になり,拡散深さを増大できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー照射時の温度シミュレーション,レーザー条件を変化させたときのドーピングデータの収集,拡散定数の抽出と異常拡散係数に対する考察,pn接合ダイオードの試作とカーブトレーサによる電気特性の評価という当該年度当初に計画した調査ををほぼ順調に実施した.民間企業から高い関心が寄せられ,実用化検討に必要な性能仕様を明確にすることができたことは,当初計画を超えた成果であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当初の計画に沿って研究を進める.デバイス製造への応用可能性を示すためには,pn接合ダイオードの耐圧を実用化水準まで向上することが有効であるので,前年度までに見出したパルス幅拡大とそれによって可能になった複数回照射手法,基板の昇温効果を中心に不純物の拡散深さの増大を当面の第一の目標課題に掲げる.併行して異常に大きな拡散現象の機構など学術的な知見をさらに深めていく.
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